詐欺

A氏のもとに、一本の電話が入る。




もしもし私だけど。

「んん、えーと・・・まさるか?」


そーそーまさるだよ、まさる。

「久しぶりだな。急に連絡なんてよこしてどーした。元気してたか?」


あぁ、元気だよ。けど今、実はピンチでさ・・・。

「なんだ、この前は事業が上手くいってるって言ってたじゃないか。」


それなんだけどさ、ちょっとミスっちゃって。借金がヤバいんだよ。

「いくらぐらいなんだ?」


ここじゃ言えないような金額なんだけど、うん百万なんだ・・・。

「なんでそんなになるまで相談しなかったんだ!このバカ息子が!」


マジでごめん。本当に困ってんの。助けてくれない?お父さん。

「それくらい自分で何とかしろ!・・・それで何の事業だったんだ?」


あー・・・あれだよ、あれ。今はやりのITだよ。

「そうか・・・。本当に困ってるんだな。」


そうそう、まじヤバいんだって。

「分かった。今は工面してやる、次は無いからな。」


ありがと、お父さん。口座は〜銀行の番号が〜にお願いね。

「任せとけ。じゃあ切るぞ。」


本当にありがと、お父さん。助かった。




A氏は受話器を置くとすぐに別のところに電話をかける。


「俺だ。今ここに掛かってきた電話を逆探知して掛けてきた奴を捕らえろ。そして警察に通報すると脅して金をとれ。もし逆探知が無理なら〜銀行の番号が〜の口座を使う者を探せ。」

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