C-001-Section-004:Now Is The Time
魔族襲撃の次の日の朝。
対策に追われ、更には書類をまとめる仕事で徹夜付けであったテオリアだったが、睡魔と格闘した末、ブラッドの家へと向かう支度を始めていた。
家の中は、学校の書類が散乱し、足の踏み場もない。女の子らしいという言葉はこの場所には皆無だ。
テオリアは朝食を軽くトーストとコーヒーで済ませ、寝巻きを脱ぎ、正装に着替えると、歯ブラシを口に加えながら、器用に髪の毛をセットする。
身支度を終えると、鏡の前で、テオリアは自分の顔をブラッドと見立てて謝る練習を始めた。
「ブラッド。ひっぱたいて悪かった…、なんか普通すぎるだろうか。最近の子に合わせたノリで謝罪した方がいいんだろうか…。ブラッド~、私が悪かったよ~、許してくれ。…違う。これではダメだ!」
勘違いを含めながら様々の試行錯誤しながら、最終的に埒が明かないと判断した結果、テオリアはシンプルに謝罪するスタイルでいく事に決めた。
「ブラッドの住所と地図地図…っと、忘れてはいけない」
テーブルの上に置いてあったブラッドの家の所在が記載してあるメモと、玄関の鍵を持って、決意を固め、玄関を開ける。
テオリアの家からブラッドの家まで汽車で30分弱。時間が惜しいと、駆け足で目的地へと向かうのであった。
「ブラッド。すまなかった。私が悪かった…」
先程のシミュレーションで納得出来なかったのが、走りながら、再び謝罪練習を始める。町行く人達から向けられる怪訝な視線など気にせず、謝る練習に没頭するテオリア。その光景は異様なものであったが、テオリアの変わった性格を考えれば自然なものなのかもしれない。
(ん? あれは確か、家の学校の生徒の…?)
謝罪練習に没頭していたテオリアの目に一人の女子生徒が目に入る。普段なら気にも止める事のない発見で、謝罪に没頭していたのに、どうもその女子高生に目がいってしまった。知っている生徒だったような気もしたが、うろ覚えで名前も思い出せない。基本学校は私服登校が受理されているが、学校の制服を着ているのが不思議であったが、深く詮索するのはやめて、目的に考えを戻した。
「神様。地の者は自ら終わりを招いているのです。どうか、始まりという新たを与えてください。共に再生の日に立ちましょう」
テオリアが過ぎ去った後、女子生徒は、宗教的な言葉を述べ始めると、体が青白く光始める。
「君臨の時は、今!!」
そして、女子生徒は叫ぶと、その青白い光に包まれ、姿を消した。
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