第1章-2話
「よぉ!クーロじゃねえか!」
自転車を走らせている途中、うるさい声が俺を呼んだ
自転車を止めて声のした方を向くと、一人の男が俺と同じように
自転車に乗っていた。
シーハ・カインだ。
学生時代からの腐れ縁で、よく俺に付きまとってくる
嫌いではないが、暑苦しい性格なため俺は少し苦手だ。
「カインか、お前もチャージか?」
俺は自転車を降り、カインを見ながら言った。
朝から太陽がジリジリと照らし続けている
「なんだ、チャージに行く途中か!俺はそんな用事じゃないぜ!!」
暑苦しい笑顔でそう答えたカイン
目が少年のようにキラキラと輝いている。
一見すると無邪気に見えるが俺にとっては見慣れた光景だ。
そしてこいつがこういう目をしてるときは、大体ろくなことがない。
「お前の家ツーシー街だろ。真逆のリート街にチャージ以外でなんの用だ?」
俺の住んでるリート街、あと指定された街にしかチャージユニットは置いていない。
だからグースをチャージするには、指定された街に行くことになるわけだ。
その用事以外にこの街に来る理由が、俺には皆目見当がつかなかった
「なんだお前、ニュース見てないのか?」
呆れた表情で聞き返してくるカインにイラッとしながら、俺は携帯ユニットを開いた。ニュースページを開きスクロールしていく
『リート街の地面から謎の鉄の球体が発見される!!』
カインの目的と思われる記事が目に入った。
謎の球体?鉄の?
疑問が尽きなかった
そもそも今の時代に土の道路など存在していない。
ほとんどがアスファルトかコンクリートだ。
記事を見る限り、アスファルトの地面から出てきたという文章だ
(古代遺跡か何かか?だとしても鉄なのは変だが
まぁ俺が深く考えてもしょうがないことだな。)
そう思い考えるのをやめた。
「相変わらずくだらないことに全力だな、俺は興味ない。」
俺は早くチャージに行きたかったのもあり、少し冷たく言い放った。
するとカインは口を尖らせながら言う
「ちぇーっ、面白そうだから来るかと思ったのによぉ!!」
「面白そう」俺も内心少しそう思ってはいた。
だがチャージに早く行きたかったため、考えないようにした。
「悪いな、じゃ、俺行くわ。」
自転車にまたがり、カインに一言声をかけた。
「おう、俺はしっかり見物してくるぜ!」
暑っ苦しい笑顔だ、爽やかという言葉よりも「むさ苦しい」という言葉が
こいつにはよく似合う。
「後で感想聞かせてくれよな」
そう言って、俺は再び自転車を走らせた。
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