第1話 序章

世間一般にはまず知られることのない僕達の人生。


幼児や学生や大人一人一人の人生なんて他人になんてわからない。

だって自分ですらよくわからないのだから。


中学生時代の好きだった女の子や男の子の事。

高校生時代の文化祭での出来事。

就職活動時代のストレスによる鬱気味の感覚、それとも単なる緊張感。


高校生時代の事を思い出す、又は想像する事はできるだろうか。


彼女は出来なかった。

彼女の場合は、そう、思い出す側だった。

しかしだからといって何も思い出せないのではなく、彼女の欲しがる期間の思い出が出てこないのであった。

彼女の欲しがる期間、それは...


その瞬間。僕は何かを感じた気がした。


おい聞いてんのか?

ここで俺の話はおしまいだ。

ヒントを挙げるとすれば…

彼女の物語は3月27日の正午ちょうどから始まり、年をまたいだ3月27日の11時ごろに終わりを告げる。


こんなところだ。

それじゃあな。


そう言って黒尽くめのグラサン男は去っていった。


きっとあのグラサンはお酒の名前とかついてるんだろう、きっとそうだ。


『あの体で 好きだった人 とかの話されてもな…』


僕は苦笑いを浮かべている気がした。

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