第10話 笑われる理由

カクランは死体を見て口を開く。

「三人とも何でロープの内側にいるの?」

「え……」

レゲインは言葉に詰まる。

「レゲインが入っていくのが見えたので私達は止めようとしただけです」

美来はしれっとそう言った。

「って! お前な!」

レゲインは美来につっかかる。そんな事をよそにカクランは連絡をする。

「アウラー、死人が出た魔女が犯人かは分かんないけど、とりあえず報告を頼んだよ。三人とも悪いけど、一日の質問責めにされるかもな……」

言われた通り質問責めにされて疲れた。

「本当に何も知らないのかね?」

教頭は怒ったような口調で質問する。

「は、はい……知りません」

「人間を入れるのは反対だったんだ。二年前の様なことが起きたらどうするんだ」

「二年前?」

「もういい、これで終わりだ」


美来が部屋から出るとレゲインはフードを深く被っている。

「疲れた……でも魔女ってどんなの?」

美来はレゲインに聞くが反応がない。

フードの中を覗くように見ると座ったまま居眠りをしていた。

見られているのに気がついて目を覚ます。

「あ? なんて?」

柄が悪い学校に居たら不良に居そうだ。

「魔女って黒い服被っておばあさんで、緑色の肌で、鼻が長いの?」

「プッハハハどこの純粋な子供だよ?」

思わず吹き出された。

「ハハあのよ、普通の人で云う魔女ってどんな奴だ? ハハハ……」

いくら何でも笑いすぎだ。魔女、現実でいう魔女といわれると男を奪って捨てるという漠然としたイメージがあった。

「そんなに笑うことないじゃん」

「魔女は、そんなプッ……い、異星人みてぇな、くっふふっ肌してねーよ」

いっそのこと我慢しずに笑ってほしい。

「人間ぽくて若いしそれぞれ個性的な服着てるよ。人形みたいなフリルのついたゴシック系の服。それに魔力が高いな」

そんな事を話していると、バムが部屋からやっと出てきた。怒鳴られたのか涙目だ。

「ううっ……何もしてないのに怖いよ」

何もしていないとは言い切れないと思う。立ち入り禁止の場所に入り込んだのだから。

「バム、大丈夫?」

「今日は、もう帰っていいって」

疲れているのだろう落ち込んだような声でそう言った。

外に出ると真っ暗で一人だと歩けそうにない。美来たちが連れてこられた場所は立ち入り禁止の場所の奥にある建物で不気味な森の中だった。

「早く帰るぞ」

レゲインが歩き出と美来、バムもついて行く。

途中遠くの方で何かが光っているのが見えた。

「何あれ?」

美来は二人にそう問う。紫色の光だ。

「んー、なんだろうね?」

それを見たレゲインが急にその光に向かって走り出した。

「ちょっと? ゲレイン危ないよ」

バムが心配してついて行く。

「えっ! バム待ってよ」

美来は、その場に取り残されそうになりバムのあとを急いで追った。


「はぁ、はぁ、さっきの光ここからだったはずなのに……」

レゲインは暗闇の光が見えた場所まで来たが何もない。そこにバムが追いつく。走っていたはずなのに息切れをしていない。

「何処だよ、どうしょう」

膝をついて頭を抱えているレゲインを見てバムは聞く。

「ゲレインどうしたの?」

「俺の想像石が見つからないんだよ」

そこに美来が虫の息で追いついた。

「バ、バム、速いよ……」

「美来ちゃん? これぐらいで倒れてたら危ないよ?」

「先に戻ってろよ。俺、まだ探してるからよ」

レゲインは立ち上がり森の奥へと行こうとする。

「待ってよゲレイン危ないって、魔女が居るかもしれないんだよ?」

バムがレゲインを引き止める。美来はその様子を見て違和感を覚え首をかしげる。

気のせいかな? 今バム……。

そんな疑問は心の中にしまっておいて口を出す。

「何でそんなにも急ぐの?」

レゲインは力を緩め美来を見る。

「想像石は持ち主がいないと周りの記憶を元に建物とか人物を実体化させるんだよ。事件でも起こされたら没収される。誰か拾ってくれてればいいんだけどよ」

俯いていて暗い表情をしていた。

「じゃあ、その……」

美来が言いずらそうに言い出したのをレゲインとバムは不思議そうに見る。

「何だよ?」

「明日の放課後一緒に探すからさ、今日はもう帰ろうよ?」

「何言ってるの!? 美来ちゃん」

なんかあったら私とバムが責められるし。

「……分かったよ絶対だぞ」

レゲインは不服そうにしていたが一応美来の提案に従ってくれた。だがバムは不満そうだった。


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