第4話 困惑の理由

今日は違うものにしようかな?

カクランは寮の近くの小規模な商店街の店先で切れてしまったシャンプーを買い替えようと商品を見ていた。

「どうしょう」

誰かに服を引っ張られ振り向くとそこには涙目になった美来がいた。

「ど、どうしたの?」

そう聞くと涙声で聞き返された。

「もう、家に帰れないのかな? ねぇ」

昨日から様子が変だったのはそういうことだと理解した。

「泣かないで、大丈夫だから」

大丈夫ではないだろう。言葉がこれしか出てこなかったのだ。

美来はしゃがみ込んでしまい通り過ぎていく人がカクランを軽蔑した目で見てくる。

とうとう、あいつがやらかしたか。という感じだ。

「ちょっ、まてまて、泣くなって」

どう見てもカクランが悪く見えるので美来をつれ人目に付かない高台に連れて行く。


「ハァ、やばいって」

あれでは生徒に手を出したうえに浮気をして泣かせた最低な奴になってしまう。

下手したら警官を呼ばれる。

美来を見るとまたその場でしゃがんで泣いていた。

「皆心配してるかも」

「君が、君の居た世界に戻るまでに心配する時間なんて無いよ。君の世界は君がこの世界に迷い込んだとき時間が止まったんだよ。戻ることを諦めなければ動くことはないよ」

「私、帰れるの? 諦めたらどうなるの?」

「帰れるよ、諦めたら君はこの世界の住民になって元々居た世界では、行方不明、神隠しとか言われたり、死んだことになる。最悪、初めから存在しなかったことになる」

「どうすれば帰れるの? 帰して」

すがるようにそう言う美来に困った顔をして事実をいう。

「ごめんね。僕には、美来を元の世界に返すことはできないんだ・・・・・・」

美来は立ち上がりカクランの服をつかんだ。

「なんで?」

「と、言われても、君をここに連れ込んだのはこの学校なんだから校長が言ってたのが君だなんて僕は今知ったんだよ」


数日前、カクランは校長に呼び出されていた。

「君のクラスに創造者の居る世界から一人入れるから試験で落とすことが無いようにね」

校長が何を言っているのか初めは分からなかった。

「!? それって、ら、ちするってこと――」

「君じゃないんだからそんなことはしないよ!」

机に手を突き身を乗り出して怒鳴られた。すぐに腰を下ろし腕を組む。

「ほら、最近あの世界に次元の歪みがよく発生してこちらに迷い込んでしまう者が増えただろ? それを見てもらうための人が居ないと困るんだ」

「オレも誘拐なんてしないけどな・・・・・・」

「とにかく、頼んだよ」

嫌な気しかしなくて断ろうとすると電 話に遮られいえず、

「あとは、頼んだよ」

拒否できずその日を迎えたのだった。


「知らなかったのに、何で私は合格したの・・・・・・?」

「この世界の創造者でもない君にこの世界の能力があるなんて思わないよ。でも、落ちてたら君、どこに行くの」

確かにというように美来は口ごもってしまった。

「一応、君のこと聞いてみるけど、無理だろうね」

「じゃあ、どうすればかえしてくれるの!?」

「他の人と同じように三年間いて正式に卒業すればいいと思うけど」

美来はまた落ち込んで頭を抱え込んでしまう。

「あぁ、駄目だよ、勉強できないんだよ」

「そこまで厳しくないから大丈夫だよ」

これから、どうしょう強制的にこんな所に入れられて。

「学ぶことは、この世界の事とかだし、頑張れば卒業できるよ」

 美来は疑いの目でカクランを見る。

「あの、先生だよね? 何歳?」

カクランはこの世界の法則を説明した。

「オレは、身体的には十八歳だけどこの世界で百年以上生きてるね」

ややこしくてよく分からなかった。そもそも物覚えの悪い私がその説明を覚えていられるはずがない。

買い物の途中だったらしいのでついていくことになった。何度見ても教師には見えない。

「それ、女性向けのシャンプーじゃ?」

「そうだよ? 男物は匂いがなれなくてね」

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