第3話 おどおどする理由

席に着くとドアが勢いよく開いて狐耳のカチューシャを着けた十代位の男が駆け込んできた。

「はぁ、はぁ」

息切れをしている。迷いに迷ってたどり着いた結果のようだ。前に立ち説明を始めた。

あの人、先生なのかな? なんか耳着けてる。周りの人も似たような格好をしているのが分かる。

「てか、遅れるなよ・・・・・・」

ぼそりと美来が言うとカクランと目が合った。

「試験を始めます。まず、このアンケートに答えてもらいます」

アンケート用紙が配られた。

「適当に答えないようにな。私語はするなよどんだけ小声でも聞こえます」

私に言っているんだそう思いながら紙に目を通す。


1.貰って嬉しいものは?

2.僕のことどうおもう?

3.最終学歴

4.アウトドアでは何が経験ある?

5.運動神経に自信は?

6.好きなことは?


これは半分以上個人的なことではないのか? 何人かが疑問を持つ。

美来や他の数名はとりあえず答える。

二十分してアンケート用紙が回収されるた。

「次に、封筒の中の紙に触れてもらいます。五分ぐらいで終わるから気楽にな。封筒に自分の名前も書いといてください」

美来は覚めることのない夢がいつ覚めるのかと思いながら言われた通りにする。

封筒も集められこれで試験は終わりらしい一日で結果が出るので教室で待たされる。


何時間まっただろうか? やっとあの狐耳の教師が戻ってきた。

遅かったな、つかれた。これで、終わりかな?

カクランは早くこんな一日を終わらせようと何とか結果を出してきた。

全く、最悪だ。三年間住んでいたも同然の場所で迷うなんて、一日に二回も。

これだけ広い学校だ行ったことがない場所があっても仕方ない。

受かった人の名前を順に読んでいく。最後の一人まで読み終わり顔を上げると、呼ばれなかった奴らは出ていった。

運悪く残ってしまったというように俯いている美来に視線を向ける。

あの子は一体どうしたんだ? まるで、ここに居ること自体に困惑しているようだ。

受験生として正式に名簿に名前が書いてあった。だから受けに来たことは間違いないだろう。

今は気にしないことにして異空次元警備学校の説明をする。

「見事合格した皆さんは、今日からこの無人島に建てられた寮で生活するわけですが」

人が住んでるのに無人島っていうのかな? 焦げ茶色の髪の狐耳の人、私とあまり齢が変わらないような……夢だからか、私の欲がでたんだな。

え? 私は狐耳なんて着けさせたいの!?こんな趣味があったなんて。

美来が頭を抱えている中話が進む。

「これから、最低三年間教える、担任だ、よろしく」

 ――なまえは?――

皆がそういう目でカクランを見ていた。

「な、なに? あ、担任のカクランだ」

美来は心の中で言う「変な名前」声には間違っても出さない。いたぶる趣味なんてないから。気を付けないと・・・・・・。

「では、一応この学校について説明しておくな」

カクランは丁寧な言葉遣いで話そうとしているのか普段の話し方と混ざっている。

「この学校は、この世界から不法に別の次元に行ったりした奴の問題や事件を取り締まる異空次元警備官。この学校でそれを教える教師に就職するための学校です。知ってるよね」

私何も知らないんですけど。

「異空次元警備官は他の次元に行ってそこの人に紛れて生活をして監視するわけだが、成績のいい方が好きな次元を選べて悪いとランダムになるからな」

もう言葉遣いに丁寧もなにもない。あきらめて普段の言葉遣いになった。

「生活については、寮の周りに売店とかあるから。学校は、三日後で、この海域の外は一日が六十時間だけどここは、時空が少しずれているから一日は、二十四時間だ登校は朝九時までだから間違えるなよ」

長い気が、一日普通二十四でしょ?

「あとは、学校から生活費が貰えるから寮のことは寮監のビルに聞いてくれ。今日はこれで終わりだじゃあな」

本当に教師なのかと疑うぐらい我先にとカクランは出ていった。

とりあえず寮に向かう皆についていく。

道の途中肩を叩かれ美来は振り向く。そこにはパンダのフードをかぶった女の子がいた。美来より背は高く年も近く見える。

「バムだよ、よろしくね」

にこにこして愛想のよさそうな感じで手を差し出す。美来は手を取り握手をする。

「君の名前は?」

「み、美来。よろしく」

美来は戸惑う。

こんなはっきりした夢などあるのかな?

「人見知りさんなの?」

人見知りどころじゃない。人見知りじゃないけど、混乱してるからしかたないよ。

寮に着くとビーバーのお面を頭の横に着けた茶髪の三十ぐらいの女性がいた。

「新入生の皆さん合格おめでとうございます。私は、ここの寮監のビルです」

声は笑っているのに顔は笑っていない。

ビル? 女性だったの? 完全に男性かと思ってたよ。名前に騙されたごめんねビルさん。

「皆さんの部屋は、三階です。」

寮はU字型の建物になっていた。

「正面から見て左側が、男子寮、右が女子寮です。夕食と朝食は朝七時と夜六時に一階で食べられますそれ以外は自分で。あと就寝時間は特にないので」

丁寧に説明をしてくれた。無表情ではあったが。

三階へ行くと部屋割りは自分たちで決めろということだったのでそれぞれ適当な部屋に入っていった。

部屋にはシャワールームがついていた。それに共同のリビングがあった。

夜だったのでシャワーを浴び寝ることにした。

 夢から覚めることを願って・・・・・・


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