WCS2012-2013

さて、ついにオフライン大会からオンライン大会へと話は移る。ここからが本題である。まずは2012年、2013年の2年間から見ていこう。


オンライン大会国内予選はGWに行われた。レーティング制を採用しており、最終ランキングのレート上位がオフライン大会である日本代表決定大会に出場できる、という仕組みだ。


いきなりだが問題から入っていこうと思う。まず、㈱ポケモンはこのレーティング制において「切断」対策をしていなかった。対戦終了後にサーバーに対戦結果を送ることでレートが変動し、ゲーム内でも反映される、という仕組みなのだが、「対戦結果をサーバーに送る前にDS本体の電源を切る」などといった方法で、負け試合だけなかったことにし、勝ち試合だけを換算していく、ということが可能となっていた。


公式は切断率というシステムを導入し、高頻度で切断により対戦が中断されたプレイヤーは、最終ランキングから除外するという措置をとった。

しかし、プレイヤー側はさらにそれを「切断ロムによるトス」という方法で回避し、不当にレートを上げた。

「切断ロムによるトス」とは、まず切断を繰り返しレートを上げたロムを作成した後、そのプレイヤーの本命のロムとマッチングさせてレートを不当に上げる方法である。


ちなみに、ポケモンはプレイヤー人口が少ないからか、レートを参考にしたランダムマッチングであったといっても、同時に対戦サーバーに接続すれば狙ったロム同士をマッチングさせることが比較的容易であった。

しかも複数ロムを使って対戦に参加することも一応規約で禁止されていたことではあったが、黙認と変わらない状況にあった。


このため、「切断ロムによるトス」ではなく2ロム以上が予選を抜けられそうな場合はそのうちの片方を知り合いとマッチングさせレートを献上する「トス」も常習的に行われていた。


他にも、この大会に取り組む際に、ポケモン界隈は色々な派閥に分かれたのだが、そのとき他プレイヤーのパーティ(構築)を身内間でスプレッドシートを使い共有していた、などと細かいことを挙げるとキリがない。


上記のような戦術(と言えるかはわからないが)により、ソロプレイヤーは、集団で大会に取り組んでいるプレイヤーよりもゲームとは関係のない部分で不利を背負うこととなってしまったのであった。


とにかく、公式の介在が少なくなった途端に「公式大会」は無法地帯と化し、純粋に競技として楽しむことはほとんど不可能となってしまった。

もちろん、上記のことを知らないポケモンプレイヤーなど無数にいる。何も知らずに上位プレイヤーに憧れてる人間だっているのだ。



一応断りを入れておくが、全ての上位プレイヤーが上述した行為を行っていたわけではない。しかし、多くのプレイヤーが行っていたの間違いない。

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