ポケモンと「改造」
ところで、ポケモンで大会が開かれるといってもどのような大会が行われるかわからない人もいるのではないだろうか。これは余談だが、筆者は以前ポケモンの大会に出場したことがあります、と知人に話したところ、「捕まえたポケモンの数でも競うんですか?」と言われ唖然としたことがある。それくらポケモンの世界大会の認知度は低い。
ポケモンの世界大会はダブルバトルというルールで行われる。お互いに4匹のポケモンを繰り出して戦う(2012年からは6匹から4匹を選んでお互いに繰り出し戦うルールが一般になった。)、というほどの認識で問題ないだろう。
この対戦ルール自体には問題ないのだが、1つ、欠点がある。それは
「対戦で使うポケモンは自分で育てて用意しなければいけない。」
というものだ。
自分で育てた方が愛着がわく、という意見もあるかもしれない。しかし、ポケモンにはまず「厳選」という作業が必要になる。同じポケモンでも個体によって能力に差があるので最も高い能力の個体を用意しなければ、対戦前に不利がついてしまう。
その後に「育成」という作業が待っている。しかし、こちらは厳選に比べると遥かにラクだ。
2013年までは、ニンテンドーDSのポケモンソフトが使われていた。ニンテンドーDSのポケモンソフトはゲーム内の擬似乱数を意図的に操作するのが比較的簡単であったので、外部ツールを使わずとも能力の高い個体を誰でも簡単に手に入れることができた。つまり、前述した「厳選」作業を大幅に短縮できたのだ。
しかし、2014年からはニンテンドー3DSのポケモンソフトが使われるようなった。こちらは先のニンテンドーDSのポケモンソフトと違い、擬似乱数の操作が実質的に不可能になった。つまり「厳選」作業にかかる時間が今までの何倍、いや何十何百倍に増加した。
これはポケモンを競技として楽しみたいプレイヤーにとっては苦痛でしかなかった。そうしたプレイヤーが手を出したのはなんだったのか?それは外部機器による「改造」、チート行為である。
これによってプレイヤーは能力の高い個体をいとも簡単に手に入れることができるようになった。
もちろん、全てのプレイヤーが改造をしているわけではない。一部である。そしてポケモンがニンテンドー3DSに移行する2014年よりも前にも改造をしていたプレイヤーも決して少なくない数いた。しかし、最も増えたのは2014年以降であるのは間違いない。
実際に、ポケモンを競技として取り組むことを考えたときに改造をしているプレイヤーとそうではないプレイヤーでは使える時間が大幅に変わってくるのだ。それくらい「厳選」にかかる時間は大きい。
さらに問題なのは、改造をしたポケモンを使っても、よほどプレイヤー側がおかしな改造をしない限り、公式にBANされることがないことだ。おそらく、改造かそうでないかを見分けるのは実質不可能なのであろう。
まず、これがポケモンの競技シーンの腐敗の1つとも言える、「改造」である。改造をしている人間が有利になるばかりで完全にやったもの勝ち、の世界となっている。
外部機器による改造は「厳選」時間の短縮以外に大きな不正を起こすことになるのだが、それはまた後々語ることになるだろう。
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