第229話 旅立ち

こつぶがお星さまになった。


最期まで、懸命に生きようとしていた。

動けなくなって呼吸が浅くなっても、本当に最期の最期まで、小さな体で病気を抱えながら、頑張ってくれた。


日を追うごとに食欲がなくなっていき、水すら飲まなくなったから、もう長くはないなと覚悟はしていた。

そして、こつぶが望んだ形での最善策がとれたかはわからないけれど、俺が思いつく限りの、出来ることはしたつもりだ。

だから、未練はあるが後悔はない。


ジャンガリアンハムスターにとって、2年は、相当長い時間だったことだろう。

その長い時間を一緒に過ごせたこと、本当に嬉しく思う。

生後1か月半で我が家に来たこつぶ。

可愛くて少しやんちゃで、ふわふわでまんまる。

その仕草や表情、体温や手触りで、どれだけ癒されただろう。

自慢の娘だ。

うちの子になってくれて、ありがとう。


ところで、いつもならこの時間、カラカラと元気に回し車で走っているおもちが、今日は静かにしている。

おもちは空気を読む子なのかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る