第199話 ウォークマンは持って行きつつ
今さっき、近所のショッピングモールに買い物に行ってきた。
往復は30分くらい。
店内はこまかいのがチョロチョロしていたし、我慢する理由が無かったのでウォークマンで聴覚情報をシャットアウトしたのだが、往復は試しにウォークマンなしで歩いてみた。
ところ、頑張ったら歩けた。
通り道には工事現場もあったのだが、お昼休みで機材も動いていなかったのも大きい。
帰ってきてから、嬉しくて、やや興奮気味に仕事中の相方にメールした。
と言うのも、ここ暫くの間、近所のコンビニくらい(徒歩5分もかからない距離)ならウォークマンなしでも歩けるようにはなってきていたものの。
大きな音が怖くなってから、早3年近く。
初めて、と言うか、再び。
聴覚情報をシャットアウトせずに歩けたのだ。
病気になるまでは、普通に出来ていたことが出来なくなった。
その顕著なものの1つが、ウォークマンなしで外を歩く、ことだったから。
俺にとって、今日のこの30分は、とても大きな意味を持つ。
無理をしても我慢しても、実はあんまり良いことはない。
単純に、辛いだけだ。
だから、今日も無理も我慢もしなかった。
逆に言うと、無理も我慢もせずに、歩けた。
嬉しかった。
気が付けば7月になっていて、俺が鬱を発症したのは6月中だったから、もう丸3年が経つわけで。
正直、とてつもなく長く、そして同じくらいあっという間の3年間で、これからもまだ暫くは病人だろうとは思うものの。
少しずつかも知れないが。
俺は確実に、良くなってきている。
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