第169話 新しい家族

第168話で、しろたんがお星さまになったと書いた。


その日は相方も運よく出張が入っておらず、ほぼ定時で上がれたため、一緒に埋葬することが出来た。

もともと、火葬は考えていなかった。

土に戻して、花を植えようと決めていた。

だから、一旦帰宅した相方と、ホームセンターに行き、植木鉢と敷石と、パンジーの苗を買ってきた。

花に拘りはなかったのだが、しろたんが真っ白い子だったから、白い花を植えたいなぁと思い、探したところ、手ごろなのがパンジーだったのだ。

でも、後から調べたら、白いパンジーの花言葉は「温和」

優しかったしろたんに、ぴったりの言葉だ。


買い物を済ませ、帰宅して、しろたんにいっぱい話しかけて、撫でて、土葬の準備をした。

敷石を敷いて、家にもともとあった腐葉土を盛り、しろたんが大好きだったキャベツで包もうとしたら、ロールキャベツみたいだから止めよう?とストップが入ったのでキャベツを敷いて、しろたんを寝かせ、腐葉土をかけ、パンジーの苗を植えた。


パンジーは2輪咲いていた。


自分でそこまで意識したわけではなかったのだが、結果的に、パンジーを植えたことで、またしろたんのお世話が出来るから、天に召されて寂しいし悲しいけど、酷く落ち込まずにはすんだ。


そして2日後。

新しいハムスターをお迎えした。

これは、正直まだ相方は心の整理が出来ていなかったようで、俺が先走ってしまった感があるが、俺の中では、しろたんの供養と追悼はパンジーのお世話を愛情と心を込めてし続けることで昇華されたので、単純に、俺と相方の2人暮らしにまた新しいハムスターがやってきた、と言うよりは、俺、相方、しろたん、パンジー、新しいハムスターの、2人と2匹と1株の家族になった感じだ。


しろたんはパールホワイト(ジャンガリアン)だったが、新しい子はサファイアブルー(ジャンガリアン)で、生後1か月の女の子。

体毛の発色がとても綺麗で一目ぼれしたのと、お店の人にお願いしてケージに手を入れさせてもらった時に、他の子たちは逃げたり指を噛んだりしてきたのだが、その子だけは物怖じもせずに手に登ってきてくれたので、この子をお迎えしたい、と思ったのだ。


飼う前に相方に相談したとき、正直いい顔はされなかった。

とりあえずショップから30分離れて、冷静に考えろ、それでも飼いたければ好きにしろ、と言われた。

だから、俺は一旦帰った。

帰って、お線香をたいて、しろたんのパンジーに手を合わせながら、しろたんにいっぱい話しかけた。

そして、しろたんの供養と追悼は、パンジーのお世話をすることで出来るから。

新しい子はしろたんの代わりじゃない、と胸を張って言えるから。

改めて、迎えに行った。

その際に、もし俺がショップから離れていた間に、他の誰かの家族になっていたら、そのときは無理に新しい子は迎えない、とも決めていた。


戻ったら、居た。

居たので、一緒に帰ってきた。


迎えた子には、「こつぶ」と名付けた。

まだ家に来て3日なので、戸惑いもあり、隠れ家からなかなか出てこないが、手からご飯を食べたりはしてくれるし、気が向けば手にも乗ってきてくれる。

こつぶも早く慣れてくれると良いのだが。


しろたんが居なくなって直ぐに新しい子を飼うなんて・・・と思われるかも知れないが。

感じ方は人それぞれあるだろうけど、俺にとっては、「家族が更に増えた」のだ。

「しろたん/パンジー」と「こつぶ」のお世話をするのだ。


パンジーは家に来て4日目になる。

2輪さいていたうちの1輪は、元気がなくなってきてしまったが、もともとついていた小さかった蕾が大きくなってきたのと、新たに小さな蕾も見つけた。

パンジーは上手に育てれば5月ごろまで開花するらしいので。

いっぱいお世話をしようと思う。

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