第157話 社会復帰

相方の職場で、うつ病になって休職→慣らし運転から復帰→業務中のミスが多発で再び休職、となっていた同僚さんが、会社から言い渡され、先月末で退職になったそうだ。

会社の都合もあるし本人の状態にもよるから一概には言えないが、個人的には復帰のタイミングがまだ早かったのかな、と思う。


俺は病んでから2年半、仕事が出来る状態じゃなかった。

2か月前から始めた仕事も、右手首の筋を痛めたことにより、今日からとりあえず14日の配送分までお休みを貰うことになった。

休みの連絡を入れた際、それは承って頂けたのだが、16日配送分からの復帰予定後しばらくは、仕事量を減らしてほしい旨を伝えると、それはあまりいい感触の返事ではなかった。


「社長と相談して折り返し電話します。」


現在連絡待ちなので何とも言えないが、可能性としてはこれがきっかけで、縁がなかったということにもなりかねない。

正直、久しぶりの労働は楽しかったし、やりがいも感じていたし、相方も義母様も喜んでくれていたので、出来れば続けたい仕事ではあるが、先方の都合もあるだろうから、こちらの我儘ばかりは言えない。


会社が休職制度を設けていて、それを使う権利があるなら、使えばいいと思う。

でも同時に、どうしてもその会社で働かなければいけないワケじゃない、と言うことも頭の片隅に置いておくと、「休職→復帰」以外の道もあることを意識できて、可能性が広がるのではないだろうか。


同僚さんは、気の毒だったと思う。

今どうしているのか知る由もないが、ネガティブな思考になっていなければ良いな、と願う。


俺も、たまたま集配もしてくれる内職を見つけたから、そしてそこの会社が使ってくれることになったから、仕事にありつけただけで、満員電車に乗って通勤するような仕事ができるまでには回復していない。

歩ける範囲で探したとしても、どんな形であれ接客業は難しい。

起業できるほどの特筆すべき何かもないから、折り返しの連絡で、こちらの都合が通らなければ、おそらく無職に戻るだろう。


少し悔しくは思うが。

それも致し方ないのだ。

無理をして社会に関わっても、自分の状態が追い付いていなければ、どのみちすぐに綻んでしまい、それは本末転倒なのだから。



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