ねこと風(二編の詩)

くろいこねこ/


おさなごは

こねこをだいて

ほおをうずめて

めをとじた


ひなたのにおい

あまいにおい

どこか似ている

お母さんの

いのちの匂い


あたたかくて

やわらかくて

ちょっとおもたくて

じっとうごかない


くろいこねこは

にゃーと

目をほそめて

小さくないた


おさなごは

もっと

ぎゅっと

こねこをだいた




冬の風の夢/


どこからやってきて

どこへいくのか考えもしない

冬の風が

しゃらしゃら

笑いながら教えてくれた


海と空が繋がっているように

地上もまた

空と繋がっていること


だから

わたしたちは

大地に足をつけ

大空に身をさらしているのだ

ということ


大空に

冷たい風が渡っている

住所のない

名前のない

意味のない

どこまでも自由だ

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