するどい目

僕の目はカマキリのよう

暗く鋭い光を帯びて

光の中に闇を見る

闇の中にも影を見る

影の中にも混沌を見る

混沌の中に世界の終わりを見る

世界の終わりの中にも一粒の希望を探して

希望を探して深く深く物を見る

どこまで見れど、闇ばかり


僕の顔は暗い顔をしている

言葉は明るい

その裏、一枚皮を剥いで性根を問いただせば

うすら寒い 憂鬱な姿が見える

その姿をまだ剥がしてみれば

憂鬱の裏に悪意が見える

ドス黒い悪意

この世に存在してはいけない、人がみれば迷わず叩き殺すくらいの悪意

それが僕の性根だ

悪意を剥がすと?

その下には寂しさがある

孤独 寂しくて人に飢えていて

誰かに触れていたい 誰かに触れられたい

その貧弱でか弱い精神、ひとりぼっちで風に吹かれている精神

そこまでいくとなにもない

孤独な精神の中になにがあるか、その本性はなにか

と 剥がしてみようとしても

それでおしまい

この孤独な精神、寂しがりな心は

人間そのものでできていて

それ以下のものにはならない

これ以上掘り下げることのできない心

ああ この感覚は僕しか知らない


そう

僕という人間、一見賢そうで悟ったような人間

これが実はただの憂鬱と虚栄に満ちた貧弱な精神の人間、

かと思えばそれも仮の姿、

本心はより惨めな被害者、何かに打ちのめされてもごもご呻いている者

それも本心ではなく下には黒い悪意があって世の中を憎んでいる

誰彼かまわず殺したいを思っている

だが悪意の下には寂しさがある

孤独 それが僕の本性

つまり僕は人間だったのだ


ではこの孤独感は一体なにから来るものか?

それはわからない

過去になにかあったんだろう

両親かな? そうだろう


ともかく僕は自分の中に

ひとつ 探していた明るい希望というほどではないにしろ

純粋な 悪くないものを見つけられた


孤独

これと一生付き合っていくのだろう

寂しさ、一人ぼっちの心、

このものから目を離してはいけない

ほとんど埋まりそうもない穴、放っておけば暴走してどこへ行くかわからない孤独

これと一生付き合っていくのだろう

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虚しいひとり言 @shiromiso

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