pool

 空は厚い雲だけで出来ていた。見たこともないような黄土色の雲が、教室の窓一面に拡がっていた。空を見上げるクラスメイトたちが放つ、不安気な声が漂っている。今日の四時間目はプールの予定だった。きっと水温が二十度を切り、水泳の授業は中止されるだろう。雷鳴が光る中、冷たいプールに浮かぶ自分を想像した。更衣室で水着に着替え、並んで次々と消毒槽に浸かる。クラスメイトや同級生たちは荒天に怯えたり、または何も気にしないテンションではしゃいでいる。黄土色の雲の下、雷鳴が光り、いつか大きな雨粒が降り注ぐだろう。


 下校時間には厚かった雲も散り散りになり、青い空が覗いていた。今日もゆうの家で遊ぶ約束をする。一度家に帰りランドセルを置いてバッグにスマホとDSとポッキーを入れた。優のお母さんが十八時までいてもいいと言ったので、お母さんにラインする。しばらくすると「了解」というキキララのスタンプが返ってきた。実況の動画を見ながらモンストやマイクラをしているとすぐに時間が過ぎていった。帰り道、丘に消える西陽を眺めながら歩く。夕ごはんを食べて二階の自分の部屋に行った。遠く連なる南の丘の上の星座をベランダから眺めた。

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