Mina turned 10 years old.
一年生のときは四年にお兄ちゃんがいて私はお兄ちゃんの妹としか見てもらえなかった。
一年の担任の女の先生は優しかった。クラスにも友達ができたしリサもいたし、ほかの先生やお兄ちゃんのことはそんなに気にしていなかった。
一年の担任の先生が結婚して二年生のときはいなくなった。
二年の担任も女の先生だったけれど、順番に一人ずつ呼ばれたときに
『お母さんは何の仕事をしているの?』
と訊かれて
『わからない』
と答えたら
『親の仕事も知らないの?』
と嫌な顔をされた気がしてびっくりした。
家の入り口は店の裏口だったし一階の店に毎日のように行っていたし仕事をしている姿も知っていたし店の準備も手伝っていた。
ミナはお母さんの仕事をいっぱい知っている、と言いたかったけれど
もう何も言えなかった。
スナックのことを何の仕事と言っていいのかわからなかった。
先生はただ生徒たちが親の仕事をどれだけ知っているのか訊きたかっただけなんだろうな。
うちは母子になっていたからお父さんのことは聞かれなかったけれど自分はほかの子たちとなんか違うのかなと思わされた。
リサとクラスが離れて、ほかにも仲良くしてる子はいたけれど家に呼びたくなかったし、なんだか普通にできなかった。
今では悪かったと思っているけれど二年生のときに喧嘩になって女の子に初めて怪我をさせた。
今は人に怪我をさせるようなことはできない。
どうしてお兄ちゃんは思い切り同級生を殴れるのかな。
もしかして平気じゃないのかもしれないけれど。
お兄ちゃんだって殴った自分の手を折ったこともあるし痛くないわけじゃないのに。
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