第16話 天孫降臨(てんそんこうりん)
葦原中国平定の報告を受けたアマテラスはオシホミミに統治を命じた。
「だから前にも言ったけど、あんな汚ねーとこ行くのは嫌だって」
再びオシホミミは拒絶した。
「その代わり、この前生まれた俺の息子を行かせるわ」
息子の名は、正式名が
ニニギは、祖母がアマテラス、祖父が別天津神タカミムスヒ(※「天地開闢」参照)という素晴らしい血筋であった。
このためニニギは天孫と呼ばれた。
ニニギはアマテラスから三種の神器を受け取り、「天岩戸」事件で活躍した神々アメノコヤネ、フトダマ、アメノウズメ、イシコリドメ、タマノオヤ、オモヒカネ、タヂカラオと
途中、一行の前にひとりの国津神が立ち塞がった。
「なんじゃ? お前」
アメノウズメが尋ねる。
「今どき、ナビも無しでドライブって不安やろ。俺が道案内してやる」
そう答えたのは、
「それは礼を言う」
なぜかアメノウズメは顔を赤らめて言った。
「そんなことより、お前のその……」
アメノウズメは上目づかいでサルタビコを見た。
サルタビコの鼻は天狗のように太くて長かった。
(ああ、あの鼻で……)
アメノウズメはよからぬ妄想で濡れた。
一方のサルタビコも、
「ん? んんっ?」
急にモジモジし始めたアメノウズメの顔を二度見して驚いた。
「ま、まさかあなたは、あのっ……」
今や伝説と化した天岩戸ライブ。
サルタビコは何万回とDVDを再生し、その中心で踊るアメノウズメで何十万回抜いたことか。
今、その本人が目の前にいる。
サルタビコは人目もはばからずフルボ○キした。
後に、サルタビコとアメノウズメは伊勢で夫婦になる。
そしてふたりの子孫は
サルタビコの案内でニニギは日向の高千穂峰に降り立った。
この日から葦原中国の主食は米になった。
天孫降臨を無事果たしたニニギは、笠沙岬で
コノハナノサクヤビメに一目惚れしたニニギは早速プロポーズした。
コノハナノサクヤビメの父
(うわっ、なんだこのブサイクっ)
イワナガヒメを見たニニギは一瞬息を飲んだ。
可憐な顔立ちのコノハナノサクヤビメに対し、姉のイワナガヒメの顔はあまりにも残念過ぎた。
体型も華奢なコノハナノサクヤビメに対し、イワナガヒメはがっちりデブだった。
「同じ姉妹でこんなにも容姿が違うとか、あり得んだろ」
軽くイラつくニニギ。
「あのオヤジ、どさくさに紛れて化け物を押し付けやがって。そうはいくかっ」
ニニギはコノハナノサクヤビメは嫁にしたが、イワナガヒメはダンボール箱に詰めクレームを添えて返品した。
「コノハナノサクヤビメは花の神。イワナガヒメは石の神。ふたりが揃って花のような繁栄と石のような永遠の命が続くというのに」
送り返されたイワナガヒメを見てオオヤマツミは嘆いた。
恥をかかされた腐女子イワナガヒメは、ネットで検索した復讐の呪文を全身全霊で掲示板に書き込み続けた。
これにより、命は永遠ではなく寿命が与えられるようになった。
結婚してすぐコノハナノサクヤビメは妊娠した。
「はあっ?」
報告を聞いたニニギは耳を疑った。
「たった一回で妊娠って、どう考えてもおかしい。俺の子じゃねーだろ」
コノハナノサクヤビメを信用できないニニギ。
「大体、あんなヤリマン女、どこで誰と何をしてたかわかったもんじゃねえ」
いっときの盛り上がりは嘘のようだった。さらに、
「よく考えてみたら、姉ちゃんがあんなブサイクなのに妹だけが美人ってのも引っかかる。確実に整形じゃねっ?」
ニニギのコノハナノサクヤビメに対する不信感は疑惑にとどまらず怒りに変わっていった。
片や、
「ニニギの子か? それともあの国津神の子か? はたまた別の国津神の子か?」
正直なところ、コノハナノサクヤビメもお腹の子が誰の子かわからなかった。
「一か八か」
悩んでいるうちに臨月を迎えたコノハナノサクヤビメは賭けに出た。
「天津神であるニニギの子なら、どんな状況でも無事生まれるでしょう」
こう宣言すると、コノハナノサクヤビメは産屋に火を放ち火傷覚悟で出産に臨んだ。
果たして、
難産ではあったもののコノハナノサクヤビメは無事三人の赤ちゃんを産んだ。
このとき生まれた子供が、
という三柱の神だった。
それでも納得のいかないニニギはDNA鑑定にまで持ち込んだ。
結局、鑑定の結果ニニギの子と判定されたため、しぶしぶニニギは認知した。
ちなみに、鑑定医がコノハナノサクヤビメの元カレだったことは誰も知らない。
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