スノー・ブロッサム
「じゃあこの雪桜は年中ずっと咲いている訳ではないの?」
降りしきる桜の花びらを浴びながら、私が訊く。
「ああ。この桜の樹の花びらがすべて散ってとけてしまったなら、今年の春はお仕舞いだ。ボクの苦手な夏は直ぐにやってくるよ。」
こんなにも美しい光景がこれでしばらく見納めだなんて、なんとも無性に切なくなってきて、私は泣きたい気分になってしまった。
思わずセンチメンタルな感傷に浸っちゃって、急に恥ずかしくなってきたものだから、あわてて目頭を拭っていると、いつのまにやら近寄ってきたエリックがニヤついて覗きこんでいるのが目に入った。
「さすがアリス。乙女チックだね。」
「もうイジワルね!」
私はプイと横を向いた。花びらを雪玉に握って投げつけてやろうかしら。
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