バベルの塔

「でもね、今日キミと出会ってからの物事は、昨日までと違って新鮮な出来事ばかりさ。」


「本当に?」


「本当だとも。何だかもっと新しいことが起こりそうな予感がしてワクワクするもの。」


「毎日が新鮮で満たされている幸せな気分になるわよね。いずれにせよ記憶のない私にとっては、全てが未体験な出来事に思えるけどね♪」

私には苦笑いするしかない。


「確かにね。ようし今日はいつもと違うことをして過ごそうじゃないか!」


「いい考えだわ!私には思いつかないから、エリックあなたが考えてちょうだいな。」

あぁ記憶喪失のこの身がうらめしい!


「よしきたボクに任せてくれ。とっておきの場所に案内しなくちゃな・・・そうだ!ちょうどいい季節だし、これから花見に行こうか?!」


「これから?」


「今時分はパテオ(中庭)に咲いた桜が見頃なんだ。」


「ちょうどいい季節といったって、花は毎日咲いてるんでしょう?」


「そう思うだろう。けれど此処にも永遠ではないものも存在するんだ。」


「へえ?そうなの。」

珍しいと聴くと途端に興味が湧いてきた。


「好奇心の強いキミのことだもの、きっと気に入ると思うよ。よし善は急げだ。口で説明するよりもその目で実際に観に行こう!」


「それじゃティー・パーティーの続きはお花見でしましょ♪」


私はエリックの提案で、ワクワクする出来事を探すため、桜を鑑賞しにパテオへと出掛けることにした。




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