バベルの塔
「でもなんでそんなこと知りたがるんだい?」
「だって、昨日のことが今日も起こり、今日のことは明日にも起こるんでしょう。じゃあ昨日より以前の過去はどうなったの?」
「ん?言っている意味が解らない。」
「じゃあ言い換えるわ。ハンプティ・ダンプティやあなたの過去はどんなだったの?」
「そう改まって言われてみるとよく憶えてないなぁ。あまり気にしたこともないしね。」
時間の迷宮に囚われているのは、私よりもむしろ彼らの方かも知れない。
私にはハンプティダンプティが毎日飛び降りている理由が、その辺のところにある様に思われて、無性に直接会って問い詰めてみたくなった。
「決めた。私は明日絶対ハンプティダンプティに会うわ。」
「それはどうかと思うな。」
「どういう意味?」
「実を言うと本当のところボクも含めて誰も奴と話したことがないんだ。」
「やっぱり。私の記憶がないことと、あなた達の過去がないこと、何らかの繋がりがあるのかも知れない。」
“それならば、どうあっても彼と明日話さなくてはならないわ。”
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