バベルの塔
「意識を無限に変化させていくということは、介在する物事の矛盾を正当化し、混沌としているこの世界を最適化し再構築する上での必要不可欠なステップだ。」
「哲学的な解釈になってきたわね?なんだか頭がこんがらがってきそうだわ。」
彼の講義の難解さに私は大袈裟に頭を抱える振りをしておどけてみせた。この際とことん、ハリネズミ先生に、しっかりと学ばせてもらおうっと。
「そうだなァ・・・分かり易く例えるなら、宇宙として捉えてみるといいかもね。朝が来て昼となりやがて夜を迎える。そしてまた次の日の朝が来るだろう?ボク達は、こうして一つひとつの事象を切り離して考えるのではなく、連続する時間の流れを全体像として俯瞰的視野に置き換えて眺めることで、極限すれば螺旋状に繰り返される普遍の真理をも見極めることが出来る様になる。」
頭のいいエリックは、彼らしい独特の語り口で、この世界を脳内で意識して知覚するためのメソッドを、私にも解る様により具体的に話してくれた。
「大きくて広い物の視点が必要なのね。解ったわ。宇宙からこの星を眺めているつもりで私も頑張ってみる。」
「でもそれだけじゃ駄目なんだな。時には電子顕微鏡の様に相反するマクロな視点を要する時もあるんだ。」
「そうか...うん確かにそうよね。自分なりのペースで、思考を意識しながら適確なバランスで頭を切り替えなきゃいけないのね。」
ようやく私も理解し、頭が冴えて回り始めた。ここの住人と話していると、自分までが賢くなっている様に錯覚してしまいそう。
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