私をオーディションに連れてって

ゲート・エントランスのところまで戻ってくると、愛らしいハリネズミがいるのに出会(でくわ)した。


体重の軽いハリネズミの身体では、どうやら自動扉の床面センサーマットが感知してくれないみたいで、扉が開かずに困っているらしい。


「大変、大変。オーディションに遅刻しちゃう!」

ハリネズミはぴょんぴょん飛んだり跳ねたりしてくちさけびながら、自動扉の床面センサーの上で小さな手足をジタバタさせて立往生していた。


「ハリネズミさん。そんなところでどうなさったの?」

私はこの愛らしい小動物に話しかけた。


「ちょうどいいところへ来てくれなさったお嬢さん。これから大事なオーデションがあるというのに、中へ入れなくて途方に暮れていたところさ。」

彼はやれ助かったとばかりに私に言った。



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