私をオーディションに連れてって

「オーディション?一体何のオーデションなの?」

テレビCMかなにかだろうか?


「悪いがゆっくり説明している暇は無いんだ。興味があるならボクに付いておいで!」

ハリネズミは、焦ったそうに飛び跳ねた。


私は、特にやることもなかったので、彼と一緒にオーデションを観に行ってみることにした。

ハリネズミの尻尾を誤って踏まつけない様に気をつけながら、センサー・マットに体重を乗せると、大きなガラス扉が、音もなく横にスライドして開いた。


「助かった!地獄に仏とはこのことだよ。どうもありがとう重たいお嬢さん!」

ハリネズミがとても失礼なことをいう。


「レディーに対して失礼ね。私、そんなに重くなくてよ。」

私は苦笑して、文句を言った。


「そうかね?まあいい、一刻も早く行かなくちゃ。」

言い終わる前に、彼は駆け出した。


まあいいは、私の台詞よね?

ホントに失礼なハリネズミさん。

まあいいわ。


「ちょっと待って!私をオーディションに連れてって!」

ハリネズミの後を追い、私は再びマンションの敷地へと戻ってきた。



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