帰り道 1.

時雨は私を家まで送ると言って聞かなかった。

実は時雨と家が反対方向だから悪いと思っていたのに本人からの申し出だったので断れなかった。




内申嬉しかったんだけどね?





「なー杏奈」



「なに?」



「これやる」





そういって時雨が渡してきたのはさっきクレーンゲームで取っていたくまのふわふわしたぬいぐるみだった。



その時はなんでこんなんとってるんだろ?って思ったけど・・・まさか




「くれるの?」



「うん。今日の記念っていうか付き合えたし俺に初めての事させてくれたからかな?

受け取ってもらえますか?」



「はい!もちろん受け取らせて頂きます」





やばい・・・すごく嬉しい。





今まで彼氏がいた事はあった。

でもここまでドキドキしたり相手の行動で一喜一憂したりする事はなかった。




ましてやサプライズでプレゼントとかされた事がなかった。




「え!?あっ杏奈!!どうしたの?どこか痛い?」





私は時雨がはじめ何を言ってるのかわからなかった。


だからただ首を傾げるしかできなかった。



「だからどうして泣いてるの?」



「え・・・私泣いて、、、そっか」



「なんか俺やっちゃった感じ?」



「ううん。違うよこんなんサプライズされた事なかったから嬉しくて涙が・・・」









時雨には言ってないけど時雨こそ私にいっぱいの“初めて”をくれてるんだよ

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