第20話 <異境の序曲> Y字路
19Fで螺旋階段を上って20Fとされる場所に来た。
が。
ここは今までのフロアとは一線を画している。
升目が無くなったのである。
僕がいる場所は目の前が枝分かれしているY字路のような道である。
後ろは山なのか何かで土の壁である。
Y字路の右方向は木々がそびえたつ林道であり、左方向は広漠とした砂漠が地平線の奥深くまで続いているように見える。
「分かれ道何ですけど、どっちに言った方がいいかな?」
僕は天使に質問する
「分かれ道なんて仕様聞いたことないわね。私が今現在あなたが動いていないのに動けているのも妙だわ。仕様が変更したのか、今まであったけど低確率でしか発生しないレアイベント的なものなのか。なんにしても私にはどちらに行けばいいかなんて判断できないわ」
助っ人さえも経験したことのない分かれ道という仕様。
僕としても困惑するしかないが、ダンジョンに来ること自体困惑沙汰なので正直もうどうにでもなれである。
どちらに行ったところで、難解なことは分からない。
ただ、今現在の動き方 が変更されたことには触れておかなければならない。
この分かれ道フロア限定のなのか、このリアルのように歩き回れる。
いままでのダンジョンは升目に沿って、ターンなるものが存在して、いたが。
天使がY字路の方向に興味深そうに向かって両方向の奥部に行っては吟味している。
正直自由に動けるようになったはいいが、いままでは僕が動かない限りターンは経たない。だが、天使が自由に動けて僕も自由に動ける、時間が常に流れているこのになる。
そうすれば敵も常に動いているわけで、全く違うゲームになってしまう。
天使が戻ってくると
「どうやら。右の木が連なっている方が今まで通りの升目に沿った移動の仕様で。砂漠の方が自由に動き回れる仕様みたい」
「動き方の選択ができるってこと?」
「そうよ。両方向の端に掲示板みたいなのがあって、そこに記載されていたわ。私としたら自由に動ける方が面白そうだと思うわ、いままでいつも、同じ升目移動だったからね」
「でも、天使は升目移動に関して熟知しているだろ?実際升目のない自由移動の仕様になって、天使の特殊能力がどの範囲で把握できるか分からないじゃないか」
「男ならやってみないの」
「僕は安定行動を望むよ」
天使は言うが絶対今まで通りの方が安定だと思う、実際頭を休めることができるのは升目仕様のおかげだ、ターンを施行せずに動かない間は戦略を組んで、攻略で来るのに対して、自由移動仕様ならそこらじゅうで常に敵が徘徊しているわけで、休める暇がない。仮にスリープモードとか中断の仕様があったら別の話だが、掲示板とやらにはそのような記載はなかった。
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僕は右方向の林道へと向かう。
100メートルほど先に螺旋階段がうっすらと姿を現した。
共に歩いている、いや、浮きながら進んでいる天使は何ら憂いなき表情で歩を進めている。
ふと天使の容貌を窺っていると、僕自身がにやけてしまった。かわいい容姿につい。アイドルオタクがアイドルの前で表すやつだ。
その様子を見ていたらしく、天使は
「何?気持ち悪い笑い方して。面白いことでもあった」
「いや、思い出し笑いだよ。特にいかがわしいことはないよ」
天使がその刹那訝しったが、顔は階段の方を向け歩き始める。
さあ、残り3分の1だ。
階段の前にで僕は林に覆われた中、自然の空気を肺にいっぱい入れる。
僕らは階段を上る。
ダンジョンに迷い込んでしまいましたよ^^ @maguron
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