第17話 <異境の序曲> 美少女
助っ人と話すのは次の階層からにしようと、14Fに辿りついた。。。
14F。低層から中層に入る頃合いも頃合い。中間地点に近づいてきている。
部屋はというと、今までの配色とは打って変わって、氷一面の部屋である。
光源がどこから発しているのか分からないが、氷に光が反射して、煌々と輝いている。
そして僕の隣には天使がいる。
天使と言うのは仮名である。見た目からインスピレーションして付けたのだ。
たかしが死んで落ち込んでいる僕は思考が錯綜しているせいもあるが、この天使が今にも僕のすべてを救ってくれるのではないかと思えてきてしまう。
まだ会話はしていない。とりあえず話しかけてみよう。
「あの。僕が
必死そうに僕は熱弁をふるった。 すると
「ふーん。ここまでよくこれたわね。14Fまで一人で来れるなんて、よっぽどの勇気、度胸、そして見識、運命力。それらすべてを備えないと難しいことなのよ。結構いい面構えをしているわね君」
天使は僕の全貌を舐めるように見渡してくる。続けて
「でも、しゃべり方がたどたどしい。女慣れしていないにおいがする。。。あ。気にしなくてもいいのよ、今までだってたくさんいたから、君みたいな、青っぽい少年はね」
僕が女性経験ないのが一目瞭然なのかと、落ち込んでいる暇ではない。
「あの。名前とかってあるんですか」
「私達助っ人には固有名詞は存在しないわ。基本的に冒険者が勝手に名前つけて呼ぶことになっているのよ」
このくだりは予想できた。
「じゃあ天使でいいかな。直球すぎるかな」
「天使ね。わかったわ。カレン君」
ドキッとした。カレン君なんて女性に下の名前で呼ばれるなんて。
それから天使に対して、今までの経緯を説明する。
「つまりカレンはたかしが死んだから、私を召喚したということね。だとしたら、2度も助っ人召喚の書を拾ったということね。運がいいわ」
やはり運が良くないと、拾えないんだな。
僕は故たかしの特殊能力について説明したところ。
「へえ。たかしは攻撃性能が高かったんだね。だと反動がこのあと来るかもね。なんせ私は攻撃性能皆無のゴールキーパーだからね。防御一徹ですから」
「え。天使は攻撃できないの?」
「できないことはないけど攻撃力がないんだから。永遠に相手は倒せないわ」
聞いてたのと違う。☆7つの最強助っ人爆誕の興奮が興ざめしかかった
「でも、カレン君の装備を見るとかなり耐久がないとみた。私を召喚できたから、防御面のケアは相当のものよ」
「というと?」
「私の特殊能力に依存するところなんだけどね。私の周囲に2升範囲にいる、冒険者は耐久値が今までの5倍まで膨れ上がるのよ。だから、25Fくらいまでなら、1体1のタイマンバトルなら、余裕で制することが可能ってわけよ」
たまげた、ここからは天使を連れて僕が主役ってわけか。
雨降って地固まる。
僕の刀で一刀両断だぜ。
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よし、天使の能力試しに敵モンスターと戦ってみよう。
たかしに譲っていた通路での順番も僕は先頭を切る。
3つ目の部屋に入ると。
「イノシシ発見!」
部屋にはイノシシが4マス直線に猛進気配だ。
僕は一歩、歩を進める背後には天使を伴いね。
するとイノシシは僕に向かって、常識破りの複数升移動を1ターンでかましてきやがったのである。
みぞ打ちにものすごい勢いで飛び込んでくる肉塊にしどろもどろである僕。
「うわあ。中層とはいえ。パワーで押してくる『猪突猛進THEイノシシ』は強いわね。部屋なら複数升目離れていても一気に攻めてくるのが冒険者泣かせね」
天使がまるで他人事のように呑気にいうがたまったものではない。
「これからは敵モンスターの情報とか逐一に教えてください」
僕が懇願するように言い放つと
「分かったわよ。私としたら、もう見たことあるかと思っていたわよ、12Fから、出てくるモンスターだからね、しかも君がそそくさと行動するからでしょ、この事態になったのは」
「すいません」
でだ、この状況。久々のタイマンバトル。
耐久値が上がっている僕にとっちゃ、中層の相手一匹なんぞ、余裕らしいからな。
ざっくり、斬ってやろうじゃないの。
カタナを持つと、斜めに振り切る。気持ちい。
すると、イノシシ攻撃。先ほどとは違い、角で勢いのない突き攻撃をしてきた。あまりダメージを感じない。
「こいつは遠方から突っ込まれない限り、ダメージはそこまでよ。升目が離れてる分だけダメージは増えるから。直線上に対峙しないことね」
2度目3度目とカタナを振るい、攻撃の応酬。4度目にして討伐。
おっと、イノシシから拾得物が。
「イノシシが低確率で発生する、強化系アイテムね。装備すると、攻撃力が上がるわ。頭部に装着なさい」
言われるがまま、角を頭に載せるようにすると自然と装着された。
「これでまあ、気休め程度の強化はできたわね」
僕らは部屋を回る。
螺旋階段を見つけて、上る。
強くなった僕はクリア一直線。と行きたい次第である。
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