第12話 <異境の序曲> ダイジェスト

9Fに無事到着だ。


7Fと8Fの一部始終をお伝えしておこう。


7Fは通常フロアであった。


たかし曰く、レベルが1ランク上がった敵モンスター。羽ライオンlv2 人面蜘蛛le2が中々強敵だったようで、しかも僕と言う目が不自由で耐久値が低いがいることもありかなりてこずっていた。



8Fはいきなし、上った部屋に階段があるという、ラッキーな事態だったので、国のぼりという形になって現在に至る。


ここで朗報だ。


はっきり見てている視界。凛々しいたかしの姿もはっきり望むことができている。


僕の視力が回復したのだ。


「よかったじゃねえか。これでお前も力になれるかもな、微々とはな」


「防具に武器を持ったんだよ。今までの分を取り返そう!」


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「そういや、6Fで拾った、書の中身を確認しておけよ」


そうそう、6Fでこの蝉の抜け殻防具と共に、書を拾ったのだ。詳しくはたかしがな。 今視界が見えるようになって書の内容が確認できるってわけだ。


「えええ。また助っ人召喚の書っぽいんだけど」


「うそだろ。見せてみろ」


たかしが書を覗きこむ。


しばらく、何か考え込むようにだ。


「お前の運の良さにはかなわないよ。これは助っ人召喚の書だ。但し、僕と併用はできないぞ、その助っ人とやらは」


「え、なんで?」


「助っ人はフロア上に一体しか、召喚できないことになっているからだ。仮にこのフロアで書を詠んだ暁には、次階層にいる助っ人の容姿は別の者に変わっているだろう」


運が良かったが、たかしがいなくなるなんてことはあり得ないことだ。


「僕は使わないよこれ。破り捨ててもいいくらいだ」


僕が書を破る動作に入りかかった時


「バカかお前は」


「え」


「お前は保険を掛けるってこともできないのか。そもそも俺が30Fまで安心安全安泰だとでも思ってるのか、俺が即効系の罠にかかって、一瞬にしていなくなるかもしれないし、俺をおとりにしてお前が逃げるっていう作戦も書を捨てればできなくなるぞ。それにだ」


たかしは書の左上に書かれた☆マークについて触れた


「この星マークはな。助っ人の能力値のいわばちからを示している。おれは☆5つだっただろ?覚えてるか」


「いや、そんな星マークが付いていることさえも、見落としていたよ」


「この書には☆マークが7つ付いている。俺よりも2つ多い。これは上位互換だ」


「たかしよりも強力なの?」


「おそらくな。ただ、ものすごい偏った能力の助っ人が召喚される可能性も否定できない。たとえば、俺の能力が


攻撃:50

防御:50

知性:50

+2升移動


なんだが。

この星7つの書の助っ人が


攻撃:160

防御:40

知性:10

-行動有り


とかなら。俺より防御と知性、そして追加能力が劣っているということになるだろう。たとえばの話だ。例だよ。


ちなみに追加効果は☆の数には依存しないランダムだ。俺はかなりバランスがいい助っ人ってわけだ」


助っ人にも色々あるんだな。って-行動って何だろ。勝手に徘徊したりして言うこと聞かなくて自滅したりとかするのかもな。恐い恐い。


__________________________________


僕たちは即上りゾーンということで。螺旋階段を目指す。


通路を歩いては部屋が現れる。


3つ目の部屋に辿り着く。


「やばい。俺が苦手としている『パチンコ』がいる」


   通

   ④

土土土僕鷹土土

土土土土土土土

土土土土土土土

土土土土土土土

土土土土土土土

土土土土土土土

土土土土土土土

土鼠土土土土土

土土土土土土土

   ⑤



「え。苦手ってどんな攻撃をしてくるんだい」


「遠方から、ほら見えるだろ。持っているパチンコで硬い硬い石をすごい速度で飛ばしてくるんだ。問題なのは鳥は石攻めに弱いってことだ」


「特定の攻撃に弱点があるとかあるのかゲームみたいだじゃん」


「ゲームがどうとか知らないけど、あいつの石攻撃に俺は確定二発だ。幸いなことにこの部屋には一匹しかいない、これが数匹いたりしたならかなり苦戦する。なんせこのフロアは一方通行だ。この部屋を通らずにして、階段にはこぎつけない」


このゲーム特有の最直近の者にしか、接近していかない敵モンスターの特性を理解していた僕はたかしがパチンコ鼠を処理している間、④通路出口付近で2升の間を右往左往していた。鼠と一直線にならないように注視しながら。


たかしといえば知性50の棋士技術で自らの進行方向を決めたうえで的確に相手の升に隣接した。縦横斜めの軸に入ってしまうと石攻撃を食らってしまうのだが、たかしは華麗に軸を避けて進行した。


華麗な翼がパチンコ鼠に直撃。


確定一発はとれないようで。鼠は石を・・・打たなかった。


どうやら隣接しているときは持っているパチンコは使わず、げっ歯類の鼠がキラキラと輝かす白い前歯が見えたかと思うと、たかしに歯を立てた。


それをものともしないたかしは2連続、翼アタックで、パチンコ鼠を葬った。


僕はたかしのもとに向かう。


「余裕だったね」


「近接攻撃はうんこ野郎レベルの攻撃力だ。余裕よ余裕綽々よ」


たかしは天敵を狩ったこともあってか、笑顔がにじみ出ていた。


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一方通行とされる、通路をたかしの先導のもとに進む。


羽ライオンlv2やうんこ野郎lv2といった僕にとっての天敵もたかしにとっては敵ではなかった。


「通路だと後ろに引くわけにいかないからな。本当はカレンに経験値を稼がしてやりたいがな。後ろの部屋に戻れば、自然発生した敵と対峙して挟み撃ちになる可能性もある」


「自然発生?」


「こんな常識もまだ言ってなかったっけか。モンスターというのは主人公が一定の行動数を図ると、自然にフロア各所に召喚されるんだよ。だから、魑魅魍魎キノコでキノコ狩りもできたってわけだ」


たしかに異常にキノコがいたあの階層は単に行動回数がキノコを生み出していたのか。


9つ目の部屋に螺旋階段はあった。


「さあ、後1階層だ、一気に駆け上るぞ」


「GO!GO!GO!」


と僕は英語教師ばりの発音で叫んだ。




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