第6話 <異境の序曲> 通路 地獄 

螺旋階段の最上部に足を掛けたと思いきや、突然真っ暗な場所に降りた。


1Fの状況を精査して今の状況を考えると、僕は今、通路にいることになるのではないか。


通路は真っ暗で何も見えない、光が差し込むのは部屋だけだ。故にここは通路だという結論に至った。


ゴーグルは付けたままだが、真っ暗で升目さえも視認できない。


何はさておき通路の壁をつたって、部屋に出よう。


僕は歩き始める。


歩く。


一向に状況が変わらない。


グルグル同じ場所を回っているようにも感じる。


何せ、真っ暗なわけだし、現在地も把握できない。


このゲームには隠し通路なる物が存在したりしちゃうのだろうか。


脱出ゲームみたいなのは個人的に不得意としているのでやめてもらいたい。




迷路に続いて、更なる追い討ちを受けたのは、僕の目の前がぐらぐらとしているからだ。


「フィーーーー」「フィーーーーー」


フィ フィ うるさいな。 お前はフィフィか。ってフィフィがフィフィって鳴くわけではないが。


うるさいといっても、こいつらは若者が深夜に大騒ぎする類の喧騒や、パチンコ屋の玉がバチバチしているようなものとは異なり、とにかく甲高い。


女性がヒステリックに女性専用車両に乗っている男性を拒否するときに出すような騒ぎ声、そんな煩わしさを感じる。


どうして目の前がぐらぐらしていると気づいたかというと、目の前にいるコウモリもどき2匹がものすごい光線を放っているからであって、僕にはそのコウモリがものすごい右往左往して飛び回っているように見える。しかし地面を見ると地面まで揺れている。これは眩暈だろう。


おそらく、このコウモリが超音波的なものを僕に照射した仕業でこの状況である。


よくゲームなんかでもコウモリキャラは主人公を混乱させるものだが本当にうざったらしい奴だな。


歴史的にもコウモリが不浄の生き物とされたことを理解できた。


眩しい。焦点が合わない。しかし倒さなければ。


僕はカタナを両手に持ち。コウモリを真っ二つにするイメージで振りぬいた。


痛い!


腕にものすごい衝撃が起きて、肘が痺れる。壁をおもいっきし、切ってしまっ

た。




するとコウモリのターンとなりコウモリは攻撃・・・してこなかった。


彼らは、依然として「フィーー」「フィーーー」とわめいている。


これはめ戦法なのでは?


まずいぞ、永久に目の前の照準が定まらずに、一向に動けないなんて。


僕は無我夢中に刀を振るいまくった。真空を切り裂く。


刀が振れる方向は将棋の王が進める方向と同じ8方向だ。


するとたまたま偶然にも、目の前にいるコウモリ一匹を捉えると後ろにいた二匹目も目の前に現れると、難なく刃が捉えて。一撃でほふられた。


試行回数ゲームだな。回数踏めば、倒せるんだな。


今のコウモリはフィフィと名付けよう。要注意モンスターだな。


続いて暗闇が訪れ。通路を彷徨う。


光発見。モウモリの忌まわしい光源ではない。


部屋だ。



  土水土水土水コ水~

  水土水土水土水コ水

  土水土水土水土水土

  水土水土水土水土水

 ①僕水土水土水土水土

  水土水土水土水土水

  土水土水土水土水土

  水土水土水!水土水

  土水土水土水土水土

  水土水土水土水土水


※コはコウモリの略

※~は階段の略



水たまりと地面が交互に連なる奇警な部屋に入り込んだようだ。左側にはフィフィがいる。


また嵌め戦法にかかるのは勘弁してもらいたいが、相手が僕を見つけた瞬間このダンジョンでは追尾してくることが確定なのだ。


ほとんどのゲーム円の敵が自らを目に捉えれば追いかけてくるのは当然っちゃ当然か。


主人公が強すぎれば逃げたりするかもしれないが少なくともこのダンジョンにおいて、敵キャラは見過ごしてなんかはくれない。


 僕は①通路に戻って敵が来るのを待つ方法を取ることにした。こうすれば、後ろから襲われれば挟み撃ちだが、後ろから敵が来ない限りは 1VS1 タイマンバトルができる。部屋で囲まれるよりもこちらの方が優位な戦況となる。


フィフィは相変わらずの喚き声で僕の視界を揺らしたが、必ず僕のいる升目に隣接してくるため、刀を振りまくり撃破した。眼眩めくらみはフィフィを撃破してから10回ほど刀を素振りしたところで回復した。


部屋は斜め移動を駆使して進む。


おっと何やら落ちとるぞ。


また、筒だ。 


早速中に入ったものをのぞいてみる。


書だ。


[現在の状況を知りたいのなら。書に血を垂らすべし]


書に血を垂らすって誰の?ってここには僕しかいないわけだ。


現在の状況を知りたいって。もしかしてフロアの全容が完全に脳内で理解できるとかいうことだったりしないか。


そしたら完全にクリアが近づくのではないか。このようなダンジョンにおいて、マップを理解できるほどずるいものはないからな。


しかし僕はずるいからやらないとなんて言っていられない。早くダンジョンを抜け出して。お家に帰るのだ。


僕は痛みという恐怖心の中、指先にナイフの刃をやった。


痛い・・・


指先ににじむ血を書に垂らす。


すると書がものすごい勢いで白赤の色が浮くくなったりこくなったりを繰り返した方思うと、何やら文字列が浮上してきた。


[レベル:3

空腹度:残り2Fほど限り

仲間の生存数:0

武器の強さ:中-2

防具の強さ:無所持

運命力:自分次第    

敵との遭遇率:低

罠の設置状況:低    

以下略           ]



色々と謎の部分は多いな。仲間ってのはなんだろう?始めたての僕には関係ないのだろうか。


武器の強さも中でマイナスが付いている。まあフィフィを一撃で倒せたし問題ないと見るか。


防具がないのが懸念材料の一つではあるな。


運命力ってのも適当なものだろう。一番大切なのは空腹度か。


ダンジョン入る前の説明の感じだとキノコを拾えとか言ってた気がするけど、どこに落ちているんだ。

落ちてないのが死とかだったら気が気ではないがどうしようもないという。


落ちていることを信じるしかないな。


そもそも、空腹度を満たせなければ、ダンジョン抜け出せないわけだしそう考えると、クリアした人間もいるわけだ多分。そうなれば必然的に木の子は落ちているそうだ確信!


僕は部屋にある螺旋階段をムーンウォークの歩調で上る。



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