第4話 <異境の序曲> 

洞窟内に入ったと思ったら僕は高校の体育館ほどの広さの間にいた。


どうやらワープしてこの場所に来たようだ。

見渡すと天井は5メートルほどあり、周りは土壁に覆われている。赤茶色の色である。

ところどころ岩が山積している。生き物の気配は感じられない。無音である。

さてどうしたものか。


とりあえず散策してみよう。


    土土土①土土土

土土土土土土土土土土土土土土土土土土

土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

土土土土岩土土土土土土土土土岩土土土土

土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

土土土岩土土土土土土土土土土土土土土②

土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

土土土土土土土土土土土岩土土土土土土土

土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

土土土土土土土土僕土土土土土土土土土


部屋を散策していると①と書かれた木の板が通路の上部に釘打ちされていて、同様に初期配置位置から右側には②と書かれたものが釘打ちされていた。


どちらに進もうか迷うな。これが岐路ってやつか、うむ。


①か②か。とりあえず②にしてみよう。


僕は②の通路に行く前に、念を入れてはフロアを丹念に観察したが、説明板で聞かされた、武器やら防具の類はなかった。


いきなり強い敵が現れて、ふるぼっこにされるのだけは勘弁である。


早々に安泰状態になりたいものだね。


②の通路に足を入れた。


そこは僕一人が通れるような一本道で目先は暗く、窺い知ることのできない恐怖感が僕をゾクゾクさせる。


光が見えてきた。部屋かな。


「うわ。なんかいる」


           ④

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

   土土土岩土土土土土土☺土土土土土土土土 

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

   土土土土土土土土土土土土土土!土土土土

  ②僕土土土土土土土土土土土土土土土土土土③             

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

   土土土水水土土土土土土土☺土土土土土土

   土土土水水土土土土土土土土土土土土土土

   土土土水水土土土土土土土土土!土土土土

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土



僕から見て手前右側には池のような、いや風呂か?肥溜か?このフロアの配色のせいか汚水と決めつけていまいたくなる。


でだ。あいつら二匹は何だ?


遠目からみると、人のような容姿をしてるようにも見える。


あいかわらず僕が不動だと、敵とおぼしき相手も不動だ。これはいわゆる仕様なのだろうか。


前方と右辺に何やら人工的な得体は知れないが有用だと期待させられる物体が雑然と放置されている。


とりあえず、四歩進む前進してみた。


           ④

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

   土土土岩土土土土土土土土土土土土土土土 

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

   土土土土土土土土土土土土土土!土土土土

  ②土土土土僕土☺土土土土土土土土土土土土③             

   土土土土土土土土☺土土土土土土土土土土

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土

   土土土水水土土土土土土土土土土土土土土

   土土土水水土土土土土土土土土土土土土土

   土土土水水土土土土土土土土土!土土土土

   土土土土土土土土土土土土土土土土土土土



目の前の敵の姿が判然とした。 案山子かかしである。いや、動いている時点で、田んぼとかで番人をしている案山子の類からは逸脱しているが、見た目は案山子そのものである。

 一本の体重を支える竹のような棒をポンポンとスワッピングしてリズミカルに見える。

しかし、手に目を移すと包丁か鉈と思われる鈍器を持っていたことに気付いた時は、万事休すと思われた。


「おい。君達話はできるのか?」


大声で問いかけたが案山子はスワッピング状態。


そのまま小康状態が数分続いた。


法則は分かってる、僕と同時に一歩進むってことだ。とりあえず②の通路に戻ろう。


僕は通路方向に回れ右をすると、②の通路に戻った。


②通路入口で案山子と対峙する。一匹の案山子の後ろにもう一匹。


やはりこの通路は一人が通るのに精いっぱいのようで、縦に並んでいる。


裸一貫、無一文。衣食住、衣のみではあるが、ここは案山子をドカンとやっつけるとしよう。


目の前にいる案山子に鉄拳を振るった。


「グサッ!グサッ」


カウンターで案山子が持っていた鈍器を振りおろしてきたと同時に僕の腹部に激痛が走った。


「いててえ。この野郎。野郎なのか、女なのかは知らんが、てか案山子に性別あるのか?」


しかし出血はしていない。ダンジョンでは痛みは感じるものの、出血はしないのか、それともある程度のダメージが蓄積すると血がどばどば噴出してくるのか。


痛みはじんじんしたもので続いているが、この後も案山子と5ターン程殴り合いを続けた。


5ターンで一匹目の案山子は粉塵と化した。


2匹目も激痛を伴いつつも倒した。


これだけの痛打を食らいながら、身体機能に一見して不自由な点は見受けられない。


だが、毎回こんな痛い思いをしなきゃいけないと思うと心が重くなる。

しかも1階層目だぞ、宿のおばあさんが言うところ、30階層まであるらしいじゃないか・・・。


どうなることだか気が気でないな。


 




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