第3話 おばあさん こんにちは

部屋を見渡してみるが、田舎のばあちゃんちみたいな家だ。


部屋から襖をあけて飛び出した。


縁側にでると、外が見える、日本庭園のようだ。


しかし物音しない建物だな。


宿の中を探索してみる。


各部屋には布団が畳まれていたり、ちゃぶ台が置かれていたりするが物置などは見当たらない。


腹も減ってきたようなしないような、そういや僕はいつから飯を食っていないのだろう。


「旅人よ起きとったか」


いきなり声を掛けられて、悲鳴に近い声をあげてしまった。


「ここ最近は人も今くなったからのぉ。今の若者は家に引きこもってばかりじゃ、お前のような若者はのぉ昔はのぉ」


「あの、おばあさん。ここはどこなんでしょうか」


僕は素直に聞いた。


「よく聞かれるはその質問。その前にお前の名前は」


カレンです。と僕は答えた。 大空カレン 僕の名前だ。 可憐な名前だろ。


男なんだがな。


おばあさんは僕の上から下までを食い入るように眺めた後


「ほーんカレンか。おなごのような名前だな。昔はタローとかミヤキチとかそんなんがよーおったけどな。名前はまあええ。ここはどこかって聞いたな。ここはなっていう、名前からして洒落てるやろ」


おばあさんは大笑いを上げた。


「日本でいうところの何県ですか?」


「ニホン?なんぞやそれ」


「え?ニホン知らないんですか。天皇陛下や阿部首相とかは」


「テンノー?アベ?すごい人なんか?知りませんは」


このあばあさん本当に日本と言う概念を有していないのか。じゃあ何で日本語しゃべってんだよ。と。疑問が出るが。どうにもならなさそうだ。


「僕家に帰りたいんですけど。道とか教えてくれるところとかないんですか」


訝しげにおばさんは僕の顔を捉えて


「ダンジョン」


「ダンジョン」


「ダンジョン」


「ダンジョン?」


「なんや、ダンジョン知らんでここに来たとかいうなよ」


「ダンジョンってゲームとかのダンジョンですか?それならよく携帯ゲーム機とかでやったりしますけど」


「げーむ?わけわからんな。お前が行く。聞いて怖がるなよ。。ダンジョンとは怪物や化け物がどかーんとおる、世界や。階段のぼって、ゴールをめざすんじゃ!」


「は?」


このおばあさんは頭がいかれている。そのように感じた。嫌感じないでいられるか、オカルトおばあさんの言ってることは真に受けれる内容ではない。きっと宗教団体か何かの人間に拉致されて、洗脳儀式か何かに入っているのだろう。そして僕はここにずっと閉じ込められる・・・


「ここからもう出ます!」


ぼくはそうおばあさんに言うと、玄関の三和土におりた。


「僕の靴どこですか?」


「履き物のことかそれなら焼いたわい」


「は?何でですか?」


「あんなもん。ダンジョンで毒床罠にでも脚をうずめたら、酷い目にあうぞい」


「なんですか。どくゆかわなって」


「お前本当にダンジョンのこと知らんのな。まあ一度行ってみるといい。壇上は広大にして、神出鬼没のモンスターたち。ははは。履物は淵にあるやつをつかうといい」


淵に置かれていたのは、草でできた履きものだった。なぜかサイズがぴったりなのはなぜなのか。


「スタート地点はここを出て、右折。先に洞窟のようなとこがある。

入れば、ダンジョンに空間的に移動する楽しみなね。初体験やね」


おばあさんは喜色満面に僕を家から送り出した。


________________________________



実際に洞窟なる場所の目の前に到着した。


何やら掲示板のような人工的な、液晶モニターのような光を放つ物がある。


のぞいてみると


『異境の序曲入口。初めてのダンジョン経験者が集うダンジョン初級編のコース。操作は殴っちゃう攻撃。物を拾う。 拾った武器を装備して攻撃、防具で耐久強化。薬草を拾って回復!時には自害薬草も。満腹度は落ちているキノコで! そのほかにも しょは多種多様な効果を発揮できるので拾っておくこと!マイナス効果の書を使うと・・・秘密♡ 道具も持つのにも制限があるから欲張って全部持とうとしても無駄だからね!ではよいダンジョンにレッツラゴー!!』


女性が滔々としたアナウンスで述べた、字幕も流れていた。


とりあえずまず。とりま 洞窟へ入っちゃおう!




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