魔法のメカニズム
学校が終わると、急いで家に帰るなり、玄関にランドセルを置く。
「遊びにいってきます!」
私は、魔法少年となった白兎君の尾行をする。決してストーキングしているわけじゃない。あのへんな生き物……グニグニ? だっけ? 奴は、白兎君と、魔法の特訓をするとかの会話が聞こえたので、それを見に行くだけだから。ストーキングじゃないよ? 断じて。
白兎君と、緑色の生物はトーテムポールしかない公園に辿り着いた。トーテムポールの影に隠れて魔法を見る事に。そして白兎君は、光に包まれると一度、裸になって、白いスーツ姿に変身。ちょっと恥ずかしそうに頬を染めている。
「まずは、指先に力を集中させて、光を描くんだ」
グニグニの言う通りに、白兎君は人差し指を集中させる。すると、不思議な事に指先が小さく光った。まるでLEDライトみたく眩くて綺麗だった。私も真似してみるけど、私の指先は光らない。
「いいかい? 魔法は、文字や絵と言ったものを組み合わせると、僕の世界レイティルフィアから力を引き出せる事ができる」
ごめん。何を言っているのか全然分かんない。
「文字や絵の組み合わせ? 君の世界へアクセスできるパスワードの様なものかな?」
「飲み込みが速いね。そういう事だよ」
どういう事よ? 全く意味が解らない私は、思わず首を傾げてしまう。
「よくわからないけど、やってみる」
白兎君は光る指先で、まずは自分の頭ぐらいの大きさの丸を地面に作った。
「そうそう、地面に形を残す様に書くといい。その丸の中に文字や形を入れると、それが魔法陣となって展開できるはず。やってみて!」
続けて、丸の中に文字を書いていく。平仮名で「はくと」と書いていた。すると光は消える。
「今のは、相性が悪かったみたいだね。今度は、違う文字や形でやってみよう」
「次は、何を書いたらいい?」
「うーん、そうだね。展開できる文字や形には個人差があるんだ。僕の知っている文字が、君に展開できるというわけじゃない。同じ魔法が使えても、展開できる文字や形も違ったりする」
「それじゃあ、とりあえず適当にやってみる」
白兎君は楽しそうに、地面に魔法陣を描いていく。真ん中に大きく丸を作り、下に小さな丸が二つ。そこから、羽みたいなのをつけ足したり、何かごちゃごちゃしてきた。なんかもう、魔法陣からはみ出てるし!
「なんだいこれは?」
グニグニは、白兎君に尋ねる。白兎君は笑って答えた。
「グニグニだよ!」
「白兎。君には僕がこんな風に見えるのかい?」
「えー似てないかな?」
「似てないよ! こんなの僕じゃないよ! 僕こんなに毛むくじゃらじゃないよ!」
ごちゃごちゃした魔法陣は、更に光を増す。すると、魔法陣は消えて、何か葉っぱの様なものが現れた。
「嘘だろ? 展開……できた?」
グニグニは驚いていた。私も、一体何が起きているのか。
「この葉っぱは何?」
「これは、レイティルフィアの世界に咲く、ウリルシーユの葉。……つまり薬草だね」
「うりるしーゆ? やくそう?」
白兎君は、難しい顔をしてグニグニに尋ねた。
「つまり今の魔法陣で、君はレイティルフィアの物資をこちらの世界に展開したって事さ」
「良く分かんないけど、成功したの?」
「魔法じゃないけどね。今の魔法陣をメモしておくんだ!」
「えー!? 覚えてないよ!」
「できる限り、覚えやすい文字や形から試して見る事だね」
「なんなら俺様を描いてくれよ」
グニグニの声でも無い、白兎君の声でも無い。誰かの低い声が聞こえた。声の主は、何処から聞こえたのだろう?
「その声は!」
驚くグニグニと白兎君の前に、黒く渦巻いた門が現れた。その門から、獣の様な金色の毛並みをした顔が覗く。猫の様な目に、三本の長い髭が左右に伸びている。
「わぁ可愛いね! グニグニのお友達かい?」
「俺様は、ゼルノアル・オセ。悪魔の末裔の一人だよ」
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