第5話 宝石ドラゴン

 


     ◇ ◇ ◇



 テレル山から一番近い街ウーゴ。

 その宿にある一室にて俺達、ユア、カレン、ノブエさんは会議を開く。

 お題は、効率の良いゴールドの稼ぎ方だ。

 適当にギルドのクエストを地道にやっていくのが一番なのであるが、早くレベルの上限を越えたい俺、そしてカレンはこの会議にノリノリである。

 というか、カレンが良い方法があると、みんなを集めたのだ。


「パジャマですか。どこに売っていたのですか」


「ああこれ? これノブっちのお手製」


「そうなの~、ユアと私の着ているパジャマは私がちょちょいと裁縫して作ったのよお。カレンのも暇をみて作ってあげるわね。今度、お風呂で採寸しましょうね~」


 ノブエさんが風呂をどうしているのか謎だが、お願いしますね、と会釈したカレンは、本気でこのおっさんと一緒に風呂に入ってもいいと思っているのだろうか。

 うむ……俺、オネエになろうかな。

 と、それはそれとして、カレンの鎧を脱ぐ格好は長袖長ズボン。

 これが、パジャマに――とそうじゃない、これも置いといて。


「それでカレン。良い案って何?」


「あ、はい。では……そうですね、見て頂いた方が分かりやすいですね。皆さんモンスター図鑑を開いて下さい。そこからジュエルドラゴンを――」


 言われるがままに。

 虚空で小さく円を描く。

 浮かぶ四角い画面。

 ピッ、ピッ、とタッチ。

 今まで出会って情報取得した、モンスターの一覧が表示される。


「ジュエルドラゴンか……」


 なんか金稼ぎに良いとか、聞いたことはあったが、今んとこ戦う機会には恵まれなかったモンスターだな。


「ああ、そっか、カレンが加わったから、図鑑のモンスターが増えてるんだ。うわ何、こいつ、こんなのもいるんだ。ウネウネでキショー」


 ユア、他のモンスターのことはいいから、早く言われたジュエルドラゴンのページを開けよ。


「触手系のやつね。こういうの好きな人って多いわよん」


「ウソ!? これ好きなヤツとかいんの。うげえ、ウチ、悪いけどそんな人と友達になれそうにないわー」


 その好きなヤツが同じパーティにいるんだがな……と、いかんいかん、ノブエさんに同調してしまった。


「ノブエさん、それ別の意味での触手でしょ」


「何? 別の意味? どういうこと?」


「あ、いや。い、いいから、お前は早くジュエルドラゴンのページを開けよ」


 問うてきたユアに、誤魔化すようにして急かす。


「ジュエルドラゴンはギルドの討伐クエストの対象ではありませんけれども、倒すと必ず『竜の卵』か『輝く赤石』どちらか1つを落とします」


 カレンの声が場の空気を正す。


「確かにドロップアイテムの欄には、そう載ってるわね~。輝く赤石だなんて、私にぴったりの宝石のような気がするわあ」


「市場ではどちらとも高値で取引きされる物で、どこの道具屋でも『竜の卵』が1万ゴールド、『輝く赤石』は8万ゴールドで引き取ってくれます」


「うわ、8万。今ウチら12万持っているからそれで20万じゃん」


「でもそれ全部は使えないわよん。そうね~最低でも12万の半分。6,7万ゴールドは残さないと生活が苦しくなるかしら」


「順調にいけば2回。このジュエルドラゴンの落とす『輝く赤石』を2つ売れば事足りるって話か」


 だが。


「そうそう『輝く赤石』のほうは落ちたりするのか。確率はどれくらいとか分かるか」


「私の感覚では、2回倒して1回は拾える感じですね」


「あれ、結構高確率じゃん。ウチもっとキビしいって思ってた。10回に1回とか」


 うーん。俺は明るい雰囲気の中唸る。

 こう確率的なものに抵抗というか、恐れがある。

 話だと50%で当たりのようだが、俺にはその数字でもまったく引ける気がしない。

 なぜなら、であるが。

 すごい身近な確率との勝負に、レベルUP時のポイント振り分けがある。

 1ポイント~5ポイントのヤツだ。

 はっきりとした解析ではないが、アンケートを取ってそのポイントの振り分け確率なんてものを作った人がいて、俺はそれを見て驚愕したものだった。


 5ポイント……20%

 4ポイント……25%

 3ポイント……40%

 2ポイント……10%

 1ポイント……5%


 らしい。

 ある意味引きが強いのだろう、俺ことマイノリティ・イッサは、5%を引き当て続けることができる男である。

 最低ポイントである1ポイントの最高連続記録は12回。

 計算するのが怖くて控えているが、凄まじい確率だと、大海のような大きな自信を持って言える。


 あと、最高値の5ポイントだった場合に限り、一定の確率でボーナスポイントとして10ポイントのおまけがついてくるようだ。

 その確率を今調査中とか添え書きがあったが、俺には関係ない世界の話で、逆に仮に5ポイント引いてまた抽選かよっ、とイラついたのを覚えている。

 あと、おまけのほうがなぜにポイントが高いっ、てな。


「まあ、あれだな。たとえ『輝く赤石』を落とさなくても、20回倒せば『竜の卵』で20万だし、無駄はないよな」


「うわー、どこからか卑屈な声が聞こえたー」


「あれよね~フラグってやつう? 自分からそうなるように仕向けてるわよね~」


 俺のことをよく知るパジャマ組が言ってくる。


「わーたよ。10回に1回は『輝く赤石』をゲットできる。そうに違いない。俺はやればできる子。ここに宣言しますっ」


「投げやりー。てか、10回で1回なら、最低でも2個はいるから結局20回戦うつもりじゃん」


 ユアがぶーぶーブタのようにである。


「わーたよ。じゃ、5回に1回くらいで、このジュエルドラゴ、ん? 平均レベル80? は、はちじゅう!?」


「ハチジュウ?」


「モンスターレベルだよっ。ユア、図鑑をよく見てみろ。このジュエルドラゴンってヤツ、平均レベル80クラスのモンスターだ」


「げっ、マジじゃん。あーあ、宝石ドラゴンでホクホク大作戦オワタ。レベル20差くらいならなんとかだけど、40近いとウチ即死だよ」


「大丈夫ですよ」


 落ち着いた声が言う。

 ユアの発言に俺、それにノブエさんも落胆ムードであるが、カレンは違った。


「ジュエルドラゴンのその行動、その性質をしっかり知れば、レベル45のユアでも十分戦えます。戦いの勝敗はレベルの大きさだけで決まるものではありません」


「どっかの仮面さんが言った、モビルスーツの性能がうんたらを思い出すが……」


 ユアに向けられる柔らかい笑顔。

 俺はカレンのその顔に見惚れていたが、その言葉には目を背けたくなった。

 言っていることは分かるが、レベルの大きさ……それはこの世界で絶対的な影響力を持つ要素だ。

 カレンの言葉は頑張り次第ではどうにかなるってものだ。

 でも俺は、その”頑張り次第ではどうにかなる”って時点で、負けてる自分を認識してしまうんだよね。

 ……卑屈だよな。

 だから俺には、カレンの笑顔が向けられないんだろうな。






「ほんとにほんと?」


「はい、間違いありません。図鑑には載っていませんが、高レベル者から狙われます。ですからユアが直接攻撃される可能性は極めて低いです」


 カレンの説明には、ジュエルドラゴンは高レベル者を優先的にその攻撃対象とするとあった。


「アナライズや図鑑など、この世界には文字や画像として情報を得ることができる機能がありますが、実際に経験しないと分かり得ない事も多くあります。その一つがこのジュエルドラゴンの習性ですね」


「ほっんんんんと、カレンってば、どこかのレベル99と違うよね。ウチ今、カレンに薄っすら感動してるからね」


「お前、言わなくてもいい一言をわざわざ言うなよな。こっちは毎回、地味にヘコんでんだぞ」


 口元を抑え笑うカレン。

 そうしてから、彼女は言う。


「そういう訳なので、前衛の私とイッサが倒れない限り、ユア、そしてこの討伐の要になる回復役のノブエさんが戦闘不能になることはないです」


「だよね。ウチが一番レベル低いし」


「その次は私だから、そうなるわよね~」


「ちょ、ちょ、待った待ったっ」


 にこやかなところへ物申す。


「今、カレン、俺を前衛にって言った!?」


「はい」


「俺が前衛に行ったら駄目でしょ。俺、後衛職の魔法使いなんだぜ」


「イッサも私と同じレベル99です。もし後衛で戦えば、ドラゴンがイッサを標的にした時、ユアやノブエさんが巻き添えをもらう可能性が出て来ます」


「囮の意味がなくなっちゃうってことよね~」


「別にイイじゃん。魔法使いが前衛に行ったら駄目とか、そんな法律ないし、なんか問題あんの?」


 ユアの言い分に首を振る。


「問題ありありだよっ。俺、カレンと違う。俺、防御紙。カレンダイジョブ、オレダイジョバナイ」


「なんで、カタコトちっくな言い方なのよ」


 それは俺も分からんが。


「それにあんま良いたくないが、俺こう見えても、中身レベル40未満だかんな」


「いや、もう嫌ってくらい知ってるし。でも、腐ってもレベル99なんだし、ダイジョブダイジョブうー」


 お前は自分が安全だからってっよ。

 カレンの言ったレベルの大きさうんたらの話思い出せよ。

 俺のレベル99買いかぶり過ぎんなつーの。


「なあ、カレン」


 訴えるようにしてその名を呼んでみたが。


「大丈夫です。どうにかなりますよ」


 その根拠のない励ましを最後に、俺の意見は皆から相手にされなくなった。

 俺の発言力ってそんなに低いのか。俺ってそんなに邪険に扱われていい存在なのか。

 俺、一応このパーティのリーダーなんだぜ……。





「反対に集中的に狙われないようにするため、全員『隠れ蓑笠みのかさ』で挑んでいたパーティもありましたね」


「『隠れ蓑笠』て~、あのわらの装備品だったわよね。装備効果は確か、敵に見つかり難いだったかしらん」


「はい。それで蓑笠にはノブエさんが言うものともう一つ、アナライズを無効化する隠し効果があって、ジュエルドラゴンからの高レベル者を判断する目から逃れられるようです」


「あら、そうなのね~。なんだか一つ賢くなったちゃったわね」


「でもさあ、ノブっち。蓑笠って効果もパッしないし、なんたってダサいからみんな着ないんだよねー」


「後は、厄介な全体攻撃烈風が風属性なので、その耐性強化で対策したり、ジュエルドラゴンは火属性が弱点なので、油の入った樽をぶつけてそこへ火を放つ。そのような戦い方をしているパーティもありましたね」


 さすがと言えば、さすがのカレンである。

 俺よりもこっちの世界に長くいるらしいからな……。


「なあなあ、じゃあ俺達も『隠れ蓑笠』着て戦おうぜ」


「だからー、それじゃあ、壁役を立ててユアちゃん生還大作戦の意味なくなんじゃん。イッサの役目は私を守る壁なのカーベ。良かったじゃんこんな可愛い子を守れるんだからさあ。ナイト気分味わって死ねるんだから本望でしょ」


「でもあれよ~、今回はあんまり早くイっちゃダメよん。力尽きる前にありったけの炎系の魔法をぶちまけて、ドラゴンのライフを削るのもイッサの役割なんだから~」


「俺の死亡を前提にすんなっ」


 こんのう、見た目はパジャマ中身は鬼の薄情者どもめ。


「イッサの言う通りですよ。幾ら教会送りで済むとは言え、仲間の死を軽んじるのは不誠実ですし、ユアもノブエさんも少し言い過ぎではないでしょうか」


「ああ、ごめんごめん。イッサってからかうと面白いからついね」


「そうね。私もついつい悪ノリしちゃったわ~ごめんなさい~」


 カレンに頭を下げるユアとノブエさん。

 で、それっきり。

 その謝罪、俺にはねーのかよ。

 あれだな。最近とくに感じているが、こういうのがカレンと俺との、人としての質の差なんだろうな。

 と、カレンにとりあえずは尊敬の念を贈って――だが、である。

 俺を前衛に置く作戦を立てるカレンもどうかと思うぞ。


「イッサ、頑張って回避してくださいね。全員生き残って帰りましょう」


「お、おう。任せとけって、ははは」


 可愛い子って得だよな。

 反感抱いていても、はい、としか言えない俺。

 まあ、回避”率”ではなく、この世界は純粋な回避だからな。

 俺にも生き残れる望みはあるし、だからカレンもこの作戦なんだろうが。


 モンスターも俺達と一緒だろうこの世界の回避――つまり、『避ける』に俺は救われている一面があった。

 確率で敵の攻撃を受けたかどうかではないので、極端に言ってしまえば、気合と根性とセンスでどうにかなる部分なのだ。

 もっとも、魔法やそれに類する攻撃は、避けたつもりでも完全ヒット扱いなので、どうしようもない。

 だからこそ、魔法使いは必要とされるんだけどな。


 それで、この回避に影響しそうなのが『素早さ』の値である。


 この素早さであるが、体感としては数値が高いほど、イメージ通りに身体が動いたり、相手の動きがよく観察できたりする。

 あと、やっぱり『素早さ』だけあって、元いた世界の時と比べると、足が早くなった気はするかな。


 けど、高速と言えるほどでもなく、それこそマンガやアニメ、ゲームなんかような人間離れした動きには遠い。

 技スキル発動時は別として、おそらくまっとうなレベル99のカレンのステータス値でも、そんなに素早い動きはできないだろう。


 そんでもって 幸か不幸か、俺の低ステータスの中で最も値が高いのがこの素早さである。


「心配しなくてもいいわよん。もし宝石ちゃんから攻撃をもらっても、私がいつでも癒やしてあげるから~」


「俺のライフゲージが耐えられればいいですけれどね」


 しつこいようだが、防御力紙ですから。

 それに、フルゲージの状態で一撃をもらうとは限らない。

 ジュエルドラゴンには、カレンも厄介と言っていた『烈風』がある。

 一定の時間で使ってくるらしいその攻撃は、風属性の全体攻撃で回避不可能のもの。

 威力はあまりないらしいが、確実にライフゲージは削られる。


「なんで、魔法使いの装備って防御力低いかな……」


 別に戦士用の装備を着用できないわけではないし、装備したら装備したらで実際に感じる痛みは減る。

 けど、きっと裸扱いなんだろうなあ。

 その場合、武具の能力やそれに付くスキルの効果は反映されないし、ダメージが恐ろしいようにライフゲージを減らす。

 なので、やっぱり魔法使いは魔法使いの物を装備したほうが……裸同然よりは無難かあ。


「気が早いかも知れませんけれども、さっき説明した追加スキルのスキル珠を渡しておきますね。慣れも必要ですから」


 カレンが巾着袋を取り出し、中身を床へ広げた。

 出て来たのはビー玉くらいの珠。

 珠とは言っても、四角ものもあれば、ひし形、星形など形は様々で、色とりどりでもあった。


 このスキル珠は所持することで取得扱いになる。

 コンソールを開けばすぐに反映されており、画面操作をして追加スキルを入れ替えたりできる。


 一生ものの特性スキルと違って、追加スキルはこうやって変更が可能であるばかりか、枠=スロット分複数セットできて大変使い勝手がよろしい。


 ただ、物理的にスキル珠を仲間に渡すなどすれば取得欄からは除外され、追加スキルレベルのあるものはレベル1へとリセットされる。

 つまり再取得後は、同じ物だったとしても初期化された状態からでの反映になる。


 ちなみにこのスキル珠は、たまに道具屋で買えもするが、入手手段は宝箱やドロップアイテムが主になる。

 あと、範囲なのか時間なのか、珠を身近なところから放置していると、そのうち取得欄から消失してしまう。

 落としたりしないことが大切で、もしそうなった場合は泣くハメになるということだ。


「これ極みでしょ。七色なんだ。綺麗だね」


「私の打撃効果の珠なんて、どどめ色よお、いいわね~」


「では、ノブエさんにはSP+100を。これでより多くの回復サポートが可能になります」


「本当にいいの? カレンの方が技スキルを使う回数減っちゃうわよ~」


「今回の相手はドラゴンなので、私の匠の蒼剣であれば普通の斬撃でも3倍のダメージ。ここは私の技スキルより、ノブエさんの回復スキル回数を優先させた方が効果的だと判断します」


「じゃ~あ、遠慮なく使わせてもらうわ~ん。ピンク色ってのが、気に入ったわ~」


「イッサには余っていたSPの消費軽減とスロット増加を。本当は貴方にも、SPの最大値を増やすスキル珠を渡したかったのですが」


「あ、カレン。SPの消費軽減なら俺装備済みだからいいよ」


「はい。なので、イッサには2つ装備して欲しいのです」


「2つ?」


「はい。消費軽減スキルは最大までレベルを上げれば-5。合わせれば消費が-10となり、『ドラゴニール』を20ポイントの使用で放てるようになります。10以下の魔法なら、SP消費は必要としないはずです」


 確かに30の魔法から10の値を引いたら、そうなるけどさ――ただ、


「同種の追加スキルって、装備しても効果ないんだけど」


 この場合、-10にはならず、-5のままってことだ。

 ブースト系なら、最大の30%を2つつけて、60%ってことにはならない。


「裏技、小技? とでも言えばいいんでしょうか。追加スキルは増加させたスロットへのセットに限り、重複扱いにならないようです」


 珍しくカレンの得意気な顔を見た気がした。

 で、言われた通り追加スキルをセットしてみて試すことにする。


 まずは、カレンから渡された消費軽減のスキル珠を最大値まで上げる。

 レベルUPに必要なものと言えば、経験値。

 この点に関してはノープロブレムといいますか、俺の特性スキルの効果もあって経験値は腐るほどに余っている。


 俺の特性スキルは『子供の成長』。

 今でもそのネームに恥かしさを覚えるこれの効果は、5段階あるスキルレベルを最大まで上げると、取得経験値が30倍になる。

 まだレベルUPできてた頃は、俺ってすんげえお得な特性スキル持ってるぜひゃっほーい、だったが、今ではね……無用の長物と化してます。

 それと、この効果は俺にしか及ばないので、同じパーティを組むユアからはケチ呼ばわりされた。

 理不尽も甚だしい女子である。


 ピッ、ピッとコンソールを操作して、連打。

 はい、最大の-5がいっちょ出来上がり。


 んで、基本の追加スキルスロットに、枠を増加する『スロットふえーる極』とそのまま俺の『SP消費軽減』。

 増えた3枠には『SP消費軽減』、『魔法力ブースト』。

 最後の空いてるところは、後で決めるとして。


・追加スキル/スロットふえーる極/SP消費軽減-5p<*>/SP消費軽減-5p<*>/魔法力ブースト<*>/ ――


 では。

 宿屋の窓から夜空へ向けて、消費ポイント10の火系中級クラスの魔法『ティラゴ』。

 手の平の先から、ゴバアアアと範囲魔法の火炎放射が噴き出る。

 普段は5ポイント消費。もし更に追加スキルの効果が働くのなら、0ポイントで――。

 SPゲージを確認すると、


「全く減ってない……だと」


 俺の驚き具合はカレンを喜ばせるに至るのであった。

 そうして後ほど、宿の店主からはお叱りを賜った。




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