第2話

「〜であるからして、この公式を…」言いながら先生が黒板に書き込んでいく内容をノートにただ写していく。

高校に入って1年と少しが経った。この退屈な作業にも慣れて、ようやく自分が高校生なんだという自覚が湧いてきた。とどのつまり「高校生」とは、こうして人生の自由な時間を浪費していくだけの、退屈な期間なのだ。こんな日々を「青春」だのと呼んであの頃に戻りたいと目を細めるなんて、世の中の大人たちの世界はどれほど腐っているのだろうか。そう考えるのと同時に、いつか、そう遠くない未来に自分もその中の一人になるという現実が見えてきて、自然と僕の目も細くなった。

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平行線 @du_noo

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