平行線

第1話

空はどこまでも青く、蒼く、澄み切っていて。

僕が抱えているもやもやとした感情なんてちっぽけに………

思えるわけがない。

よく、ドラマや漫画では「この広い空と比べたら、人間の悩みなんてちっぽけだ」なんて言う熱血人間がいるけど、普通に考えてそれは無理だ。空が広いのは生まれた時から当たり前のことだし、そもそも人間と自然のスケールを同程度として扱うのはどうかと思う。

こんなことを東京の雑踏の中考えている僕自身もどうかと思うが。視線を上げたタイミングで信号が変わりそうになったのに気づき、またゆっくりと歩き始めた。