第2話
わたしはホァユゥ。鳳美。食べることが好きです。ジゥゲイを殺すよりも少しだけ。というより、何よりも。
○
赤色と青色、というより緑っぽい色と黄色。だいたいこの三色なんです。ボトルに入っているものは、口に含んだものを一度プレートに吐いてみたのですが、無色透明ですね。
わたしの体は赤でも青でも緑でも黄色でも無色透明でもないのに、なんでだろうなってよく考えるんです。摂取したものがどういうわけでわたしのこの黒髪、及びおっぱいとか腹肉とかその他もろもろに変わるのかよく分かりません。色が全然ちがう。
試しに赤ばかりにしてみたり青ばかりにしてみたり全部混ぜてからにしたこともあるんですけど、ジゥゲイと戦ってる途中で目眩がする時が増えたくらいで特に変化はなかったようなんですよね。そういうことばかりしていると、食べ物がもっとドロドロした食べ物っぽくない感じに変わるので、最近はそういうことも試さないのですが、相変わらず何故なのか、と疑問は消えません。
それで、わたしはとりあえず次の研究テーマを決めて、密かに実験を試みているのですが、率直に言ってあまり、うまくはありません。密かに、というのは、わたしの乏しい戦略をもってして、たぶんバレたらペーストがデロデロに変わるくらいの被害じゃ済まないと考えるからです。それでも、食べてみたくって研究テーマにしてるんですけど。
わたし、今まで食べる専門だったので、ペーストがペーストになる前はなんなんだろうって疑問には気づいていても、あまり気にしなかったんですよね。こっそり成分をサーチしてみたことはあったんですけど、判明したその成分はじゃあいったいどこから来たのかって具合です。謎が謎を呼びます。
結局、ペーストをいつものように、赤青黄色の順で食べ終わって、うむむ、どうにかうまくやれんものか、そう思って操縦桿に足を掛けて天板を見上げていたら、そこにジゥゲイを発見したのです。同時に、マザーがわたしにジゥゲイ殺害指令を出してきたので、わたしは腹をさすりさすり、「よし!」と声を上げて決意したのでした。
まぁ、いつものようにやつは大口上げて近づいてきますわな。そこでわたしは一発ドカンッてなものです。いつもならそうです。
でも、今回は違います。やつには人類の知的好奇心のイケニエになってもらおうという寸法です。
わたしはフォコォ、吠虎の可愛い頭をジゥゲイの口の中につっこみました。もちろんわたしの棺桶もずっぽりです。
わたしの目下の研究の壁は、フォコォとジゥゲイは触れることができても、わたしとジゥゲイは直接触れられないことでした。それで、わたしは考えたのです。フォコォとジゥゲイを合体させればいけるんじゃないかと。
そして、わたしはウキウキ気分で、フォコォの天板のハンドルに手を掛けたのでした。なんだかすごく、期待と不安でドキドキしています。
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