Decade(十年間)

「エラーによる遅延だ。Dear、デリシャス・メテオは人型のインターフェースを運用しないことを前提に改装してきている。無理に繋げるとまずい」

「……どうしましょうか」

「記憶演算のチップを抜き出して変換器を噛ませる。この体に未練は?」

「ない、といったら嘘になりますが……動かないのなら仕方ありません」

Doomはぼそぼそと言った。Doomは頭を押さえた。

「十年は長い。ぴかぴかだったから油断した。よく考えたらデリシャスメテオのセットってことは一度も手が加わってないはずだ。十年前のままのインターフェースなんて今時ないよな、少なくともおれの手には余る。何世代も前では動かせないが、一世代前くらいの隔たりなら変換器がある。それをつかえれば……」

信号変換器を五つ経由すれば今のDearとの交信ができるようになるが、デリシャスメテオには積むことが出来ず、Dyeの体ではそれを入れるスペースが確保できない。検討の末、新しい汎用のインターフェースを用意することになった。

チップを抜いたDyeは製造された姿のまま、何一つ改装されることなく倉庫へしまわれた。大きな汽缶の下、デリシャスメテオのインターフェースが目覚めることはない。

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