Depth is two merter(二メートルの深さ)

頭上には青空が広がり、煙突から白く立ち上る煙は明るい青へと溶けていく。Doomは船を見上げる。暗い宇宙の闇の中、降りそそぐ雨の中を飛んだデリシャスメテオの外装はあからさまに凹んでいた。ベンチに腰かけ、葬儀場の煙突を眺めながらDoomはラジオのスイッチを入れた。つまみを回し、チャンネルを天気予報に合わせる。うららかな陽光。地上の空は気持ちの良いほどに晴れ渡り、降りそそぐ雨が嘘のようだった。電波の入りは悪く、ノイズ交じりのラジオは何分遅れかの情報を吐き出している。Doomは喪服も帽子もそのままに、降りそそぐ陽光の下で缶コーヒーを飲んでいた。ぬるい風が彼の黒髪をさらう。服から黄色の膜が剥がれ、ふわりと舞った。目の前を飛んだ黄色の欠片を摘まむと、それはマムの花弁だった。墓前に供えるときについたのだろう。

辺境のこの地に、墓参りに来るものなど誰もいない。交通手段がないからだ。多くの命が眠るここは、何一つ眠りを妨げるようなもののない静かな場所だ。Doomはここへ来るたびに、クリセントマムのブーケを持ってくる。新しい墓に供える大きな包みと、そこから抜いた数本の花。それを、毎回決まりきって墓に供え、手を合わせる。

コーヒーを飲み終えた頃には、ラジオのノイズは治まっていた。Doomは修理屋へ飛んだ。暗く深い闇の中、もう雨は降っていなかった。

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