実際にはありえないと思われていた、様々や奇妙なシチュエーションが日常の社会に埋め込んだ時、人々は何を思い何をするか。様々な状況を舞台にしたショートショート集。どれも不思議な世界へと迷いこませる、素敵な扉となっています。
私は短編には星二つを上限にしているので、三つ無いのでイマイチという事ではありません。さて、自動販売機まで読んで、レビューしています。最初の鯨の降る話が典型ですが、物語の舞台設定が、読者の常識を超えて、ぶっ飛んでいるところに魅力を感じました。鯨の話は、タイトルにあるように、最初から奇想天外な設定を前提に進みますが、後続の話では、その奇想天外な設定が最後にネタばらしする構成になっていたりと、楽しめました。
「扉の向こう」を読んだとき、ショート・ショートの文法がきれいだなと思いました。同じシチュエーションの繰り返しがだんだんズレていく感覚。個人的には星人ものが増えていくことに期待。非日常を扱うにしても、SFなのだし「大きな宇宙船」「小さな幸せ」のような大宇宙的なお話をもっとたくさん読んでみたいです。
表題にも見られるように、ありそうでなさそうな、教訓が込められているような、そんな短編集。 ほんの5分、気持ちを楽にしたい時に。
いかにも、という風なショートショートで読みやすく、楽しませていただきました。