三日坊主
ある日、N博士もとに一人の青年が訪ねてきた。
「先生、ご相談があるのですが。」
N博士は精神科医だった。青年は勉強に身が入らないことに悩んでることを伝え、こう話した。
「恥ずかしい話なんですが、三日坊主を治す薬ってありませんか。」
N博士は少し考えた後、錠剤が入った小瓶を持ってきて説明した。
「これを毎日、勉強する前に水に溶かして飲みなさい。何日か続けると効果が現れてくるはずだ。」
青年が帰った後にN博士の助手が言った。
「驚きました。まさかそのような薬があるんですね。」
N博士は笑って答える。
「あの薬にそんな成分は入れてない。ただ少し甘みと気分が切り替わりやすいようにミントの香りがするようにはしてはいるがね。私は勉強するよりも簡単なことを提案してハードルを下げてあげただけだよ。」
何週間か経って青年がまた訪ねてきた。
「先生のおかげで、毎日勉強できる習慣が身に付きました。」
N博士はそれを聞いて満足した様子で青年に尋ねた。
「それで今日はどのような相談なんだね。」
青年は申し訳なさそうに話した。
「あの薬を飲まないと、集中できなくて。まだあの薬があるようなら分けてくださいませんか。」
辛い習慣を続けるのが難しいのと同じくらい、楽な習慣を止めるのも難しいのだ。
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