第6話 かぐや姫


それは一瞬だった。



夜空で輝いていたその飛行物は、いきなり消えてしまったのだ。

え?

状況が飲み込めない"僕"は、とりあえずいい話のネタができたと思い、Twitterで今のできごとをつぶやこうと考えた。

意外と人間というのは、ありえない事態でも冷静でいられるらしい。


スマホを取りに行こうと、庭からリビングに戻ろうとした瞬間、突然背後からおそろしく風が吹きつけた。大の大人が思わずよろけてしまうほどの風だ。

瞬時に振り返ると、そこには高さ2メートルほどある光り輝く大きな箱があった。そう、さっきまで自分が夜空に眺めていた飛行物だ。

恐怖と驚きで足も動かず声も出ない。頭の中も真っ白だ。



プシュッという機械音と共に、ドアのようなものが開いた。

降りて来たるは異星人の使者か、それとも欲に飢えたクリーチャーか。

永遠にも感じられるような時の中、降りて来たのは、そう、



おかまだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る