第4話 お月様


準備は終わった。 まだ母親は電話をしている。

立っているのもしんどいので、アウトレットで買った今にも足が折れそうな椅子に腰を下ろす。

スマホ……、ポケットを探すが、無い。部屋で充電しているんだった。



手持ち無沙汰で、再び月を見上げる。……ん?

月の中央部に穴が空いてる?

意味の分からない事態で、しばらく月を凝視してみると、黒く見えたのは月の手前に浮かぶ気球のような飛行物だと分かった。


こんな時間に気球?


先程部屋を出る前に見た卓上時計では確か7時を回っていた。

夜景を楽しむ観光プランでも始めたのだろうか。


特にすることもなかったせいか、"僕"はずっとその飛行物を眺めていた。

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