どこにも居つけぬ魂は

どこにも居つけぬ魂は

ゆらりふらりと彷徨って

引き合い 離れ

S極同士の磁石のように

くるりくるりと逃げまどう


寂しいのだ

もう何の力もない

戦う気もない

勝とうという気もない

ただ憂鬱な 誰かの責める声に

身を投げ出し

死よ 来るなら来たれ

僕は逃げも隠れもしない

死ねと言うなら殺してみせよと

四肢を投げ出し待っている

僕は想像してみる

たとえばチェーンソーが轟音とともに僕の首筋に迫る瞬間を

たとえば頸動脈を断たれ血が噴き出し 意識の薄れていく時間を

たとえばナイフを胸に刺され

たとえば酸の海へ放り出され

たとえば首を絞められ

たとえば

そう

死ぬ瞬間をずっと空想しては

待っている


しかし生きている


さて僕に生きていく能力はもはや備わっていない

一度死んだ身なのである


ここから再起した者がいるだろうか 僕は見たことがない

もしいなければ僕が最初の一人になるのだろうか


ああ、やはり、僕は生きようとしている

悲劇のヒーロー、気取り屋、大げさで嘘つきで、虚言癖のある、

見た目だけの、中身のない、つまらない男。

何とでも言うがいい。どうしようもないのだ。

それが僕の全てなのだ。存分に嫌うがいい、憎むがいい。

けれど僕は現に生きている。ものを考えている。

そして未来というものは、どうやら僕にもあるらしい。

過去は? 過去も、確かにあるのだ。どうしたって、未来も過去もあるし、

現在は疑う術もない。


つまり僕は生きているのだ。

僕はものを考え、見て、聞き、考え、

現にここに生きているのだ。

何ていう簡単なことだ、それを証明するのは、僕が僕自身に対してだ。

生きている、生きている。

ああ、僕は生きているぞ、この僕が、生きているのだ……。

一体両親にどんな酷いことを言われたのか、

憎しみを忘れてはいけない。非情な家庭に育ったのだ、忘れてはならない。

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