うた
恋をしていますか
僕はしていません
彼女が僕のもとを離れてから
もうずっと一人きりです
彼女がひとりで離れて行ったのではなく
彼女が僕の前でゆらりゆらりと
誘うように踊っているのを
僕はつかみきれず
ああ
彼女は待っていたのだ
僕が愛に焦がれて彼女のところへ飛び出し
好きだ 愛してる 僕の一生をあなたに捧げる
だからそばにいてください
そうささやいて 抱きしめる瞬間を
どうしてか僕にはできなかった
どうしてだろう?
ああわかった
僕は彼女にふられてからいろんな女の子と話した
僕は女の子と話している間だけ生きている心地がする
でもある程度仲良くなると むしろ僕のほうから離れてしまう
それはなぜか?
何人かは僕のことを好きだといってくれて
僕がそっけない態度をとっても
しばらく構ってくれて
まあ いまはずいぶん離れてしまって
彼女らがどう思っているかわからないけれど
でも僕は
好きだとか 大好きとか
あれだけ僕のことを思ってくれている人たちを前にして
むしろ退くような 身を引くような
遠ざけるような 拒絶してしまう
その意味はきっとこうだ
半端な愛ならいらない、最後まで愛してくれるの?
そう言いたいんだ
いままで家族にどれだけ傷つけられてきたか
それを繰り返したくなくて
愛してくれる人を探しているんだ
僕は好きだった彼女がいつまでもそっけないから
二年 別れてから丸二年間ずっと好きで
今も好きだけれど
ついに僕の方からも離れてしまった
そのとき何と言ったか 一通のメールを送った
何と言ったかはわすれた 思ってもいないことを書いた
僕のキャラクターに合うように
いかにも文学的な悩みから彼女を諦めるのだと
もしくはなんだったか
失望だったか 彼女を嫌になったのだと
そんな嘘を書いた
いや実際 そのときその瞬間はそうだったのだ
でも僕が一度好きになった人を嫌いになるわけがないでしょう?
ねえ さん
なんだかあなたが今も読んでくれているような気がする
好きです
僕が心から愛しているのはあなただけです
この先もずっと、かどうかはわかりません
もしこれからもずっとあなたのことを好きでいるなら
つまり 世界でただひとり愛している人と 僕は会うこともできないわけで
そうなればまともに生きてはいけません
では生きていくとすれば?
あなたを嫌いにならなければならない
もしくは あなたと二人で 生きていければ
こんなに嬉しいことはないと思う
どうでしょう
何が書きたかったのかわからなくなってきた
やっぱり好きなんです
たまに他の誰かにふらっと惹かれることはあっても
最後はあなたのところへ帰ってくると
もしあなたが僕を愛してくれるのなら
僕は約束します
あなたを死ぬまで愛していると
ただ このことをどうやって伝えよう?
あなたがいまどうやって生きているか僕には全然わからない
もしかして ついに僕がいなくなって悲しんでいるのか
そう思うのは傲慢でしょうか
案外新しい環境に慣れ始めているかもしれない
もし僕が少しでもあなたの助けになれるのなら
いますぐ傍へいって
どうしよう
抱きしめて好きだといってキスをして
一緒に甘いものを食べて
ああ 子供みたいなことしか思い浮かばない
こんな幼い男はあなたにふさわしくない
なんてね
好きです
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