心の奥底で鳴っている音楽
文章を音楽みたいに感じるときがある。
音の韻律とかどうとかそういう話かもしれない。
昔、文章を書くことを志してすぐのころ(今でもまだ初心と言えるかもしれないが)、言葉は一文字、一単語、一文、句読点ひとつとっても、そこに魂がこもっていなければならない、と思った。それで、欠片も不要なもののない、全体として完成された、文章としての文章を目指していた。
たとえば、文章を読んでその内容が面白いとか、そういうことじゃなく、
文章自体が芸術であるような。
面白い物語を書いた小説なら、ひょっとしたらそれを映画にしたほうが面白いかもしれないでしょう? 僕が目指しているのはそうじゃない。
小説でなければならない、小説として余すことなく表現されているもの。
たとえば「漫画で読める名作シリーズ」と銘打って、太宰治の人間失格とか、夏目漱石のこころとか、あと檸檬とか罪と罰とかが漫画化されているが、どうしても魅力が薄れる。たぶん視点が変わるからだ。文章は意識そのものだから人間の内側そのものだ。大して漫画は主に外側から描く。小説は人物の意識になりきるもので、漫画は人物をただ見ている。ただ人物の声を聞いている。たぶんそういう違いだ。いや、小説といってもものによるけれど。もしかしたら、うまい漫画を読めば、……岩明均さんの「寄生獣」は何か違うものを感じたけれど、ああ、ともかく、本当によくできた小説は容易に漫画に移せるものじゃない。映画にもならない。よっぽどうまい監督がやればわからないが、それは監督の技術であって、別の作品だ。
ともかく一個の小説として、文章それ自体として完成している文章を書きたい。
そのためには小説じゃなくてもいい。つぶやきとか、こういう断片でもいい。
俳句、短歌、日本の文学といえば、それから随筆、日本書記、形式はさまざまだけど、僕の目指すところは、何か言いにくいが、そういう本物の何かだ。
ということでよければ読んでください。
未だにつまらない文章を書いて醜態をさらしている始末ですが。
いや、自分じゃそんなに悪いとは思ってない。実際。
むしろ、小説らしい小説が書けず、よくわからない随筆か評論じみた嘆きみたいなものばかり増えていくので、困っている。
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