第4話 ナイアくん<<<シチュー

シスターは教会の扉を蹴り開くなり、急いで正面にある暖炉に火を焚く。


彼女の教会は他の教会より二回りほど大きく、かなりの人数が入れはするのだが、まず入ってくる人がいない。


よってこの教会にはいつも彼女しかいないのだが、彼女1人だけにはもったいなかった。


暖炉の前に彼を寝かせ、一度も使われてもいない、少し埃の被った信者用の毛布を何枚か被せた。


「…はー…」


とりあえずできることをしたシスターは、ほっと一息つく。


そして、昼間であるはずなのに、疲れがかなり回っていることに気付く。


…こんな時には、あれが食べたい。


野菜がたっぷりと入ったシチュー。


シスターの、大好物だ。


栄養がたっぷり入っていて、噛めば噛むほど美味しくなっていく。


布教の帰りは、あの暖かさが身に染みるのだ。


「久しぶりに、作ろうかな」


あれを食べると思うと、不思議と怠さが吹っ飛んでいく。


シスターは少し笑みを浮かべると、<立ち入り禁止>、と張り紙がしてある、キッチンの扉を開けた。

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