第2話 吹雪の中の明らかにアカン奴との出会い

季節は真冬。


吹雪がびゅうびゅうと音を立てながら滝のような勢いで降り積もっている。


村では大凶作が起こり、農民は鳴りを潜め、それぞれの神に豊作を祈り続けていた。


冬は農民が異教徒潰しを行える程の余裕がない為、滅多に起こる事がないので、突然殴りかかられる、ということは無く、ある意味安全ではある。


その代わり、外に出ると肌を裂くような寒さが体を襲ってくるが。


「ううう…今日もまた収穫ゼロですか…はぁ…」


金色の短い髪を雪で真っ白に染め上げながら重い歩を進める女性、シスターは、肩をがっくりと落とし、ため息をついた。


彼女は数年前に新たな宗教の教祖として布教を始めたが、何故か今日の今日まで一人も信者が集まっていないのだ。


しかし、そんな絶望的な現状にめげないシスターは、今日も吹雪が吹き荒れる中、布教を行ってきたのだが、八百屋の女店主に怒鳴られ、今、しょんぼりとして帰宅している途中だった。


「そ、それにしても今日は寒…っ…えっきしゅ!」


シスターは身震いをした後、大きなくしゃみをする。


彼女は自らの修道着の上に何枚も重ね着をしているのだが、それでもかなり寒く、震えは止まらない。


頭に積もっている雪を払い、髪を整え、ため息をつく。


シスターのそんな毎日が大きく変わるきっかけとなったのは、


『おや、お嬢さん。今日はこんなに暑いんですから、もっと薄着をしないと。

 …折角の大きな胸が、もったいないですよ???』


「…は?」


このヘンテコリンな男性だった。




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