第9話 談笑
「桶川さん、この館について詳しく聞いていいですか?」
特にやることもないので、私はこの館について調べることにした。
その他にも、他の人たちとコミュニケ―ションをとろうとも思ったのだ。
「といっても、僕もそこまで詳しいわけではないんだよね。いつ頃この館が無人になったのかもわからないし、そもそもいつこの館が建てられたのかもわからないんだ」
「そうなんですか……」
「ごめんね、期待に応えられなくて」
仕方ない。なら他の人に話題を振ってみるか。
今この場にいるのは、私と桶川さんと横山さんだ。高山さんはお風呂に入っているし、桑原さんは次なので準備をしているのだろう。
阿部さんと内田さんは何をしているのかはわからないが、多分部屋にいるのだろう。
「そういえば私、横山さんに聞きたいことがあったんですけど、横山さん達ってどうして道に迷ったんですか?」
「うーんとね、私達は旅行でここに来たんだ。私は都会の出身だから、一度でいいから山奥の村とかに行ってみたかったんだよね。でも、途中で迷っちゃってさ、そしたらこの館を見つけたってわけなんだ」
「そうなんですか。いつ頃この近くに来たんですか?」
「三日前かな。昨日までは麓の村で観光してたんだ。今日は山奥の村まで行くつもりだったんだけどね」
「それにしてもすごい偶然ですね。この館にいる人全員が道に迷ったなんて」
「ほんとだよ。しっかし、野宿になんなくてよかったよ。確かこの近くって、変な殺人鬼が出るって噂があった気がするし」
「それ、僕も聞きました。確か、仮面騎士とか言うんですよね」
「そんな感じだったっけ。この館って相当古いし、もしかしたらその仮面騎士ってやつの拠点だったりして」
「やめてくださいよ。夜眠れなくなっちゃうじゃないですか」
二人は殺人鬼の話に夢中になってしまった。
そういえば、先生にも注意するように言われたっけ。でも、まさか運悪く出会ってしまうなんてことはないだろう。
そうだ、今のうちに明日の準備をしておこう。
「じゃあ私は明日の出発の準備をするので部屋に戻りますね」
「うん。じゃあね」
二人に一言いって、私は部屋に戻った。
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