第8話 館探索 2
部屋に戻る途中で、内田さんと出会った。
「あ、南さん。何処に言ってたんですか?」
「内田さん。特にやることもないし、この館を探索してたの」
「そうだったんですか。あ、そうだ。私さっきお風呂が使えるか見てきたんですけど、大丈夫でしたよ! お風呂場だけ水道が通っていました。水も新鮮で特に支障はないと思います。ただ、電気は通っていませんでしたが」
「水道が使えるの!?」
少し気になるが、水道が使えるのはありがたい。
「それで、皆で集まってお風呂に入る順番を決めようと思うんですけど……」
私もお風呂に入りたい。山道を長い時間歩いたせいで、汗でベトベトだからだ。
「いいね。じゃあ皆を集めようか」
私たちは手分けをして皆を広場に集めた。
全員を広場に集め、水道が使えることを話し、お風呂の順番を決めた。
最初は女性陣が入ることになり、私は四番目となった。
ただ、水道がいつまでも使えるとは限らないので、最低限しか使わないという決まりにした。どんなに長くなっても三十分以内には交代することにし、できるだけ無駄遣いはしないようにと皆で話し合った。
お風呂に入るまで時間があるので、館の探索を再開することにした。
「ふう。疲れた」
いろいろと探索したが、特に目ぼしい収穫はなかった。
この館にある部屋にはあのメモリアルルームを除いて全て入れるようだ。鍵もきちんとかかる。
マスターキーは、この館中を探したが見つけることはできなかった。
外にあるかもしれないが、もう空も真っ暗だ。こんな状態ではたとえあったとしても見つからないだろう。
電気がつかないので、館内は日が沈むにつれて暗くなっていった。私はいつも持ち歩いている懐中電灯があるので特に不自由はしないが、他の六人は携帯のライトを明かり替わりとして使っているらしく、その様子を見ていたが不便そうだった。幸い私は二つ持っていたので、一つは男性陣に貸与し、もうひとつは女性陣で使うことにし、どこかへ移動するときは私と一緒に行動することになった。
「でも、夜中にトイレに行くときはどうするの? いちいち芹香ちゃんを起こしてら全然眠れないでしょ?」
阿部さんに言われ、それも最もだと思ったので、就寝時間は男女全員一緒にし、懐中電灯は廊下に置いておくことにした。
「おっけー。じゃあ尚子と愛梨ちゃんにも伝えておくね。次のお風呂は芹香ちゃんだから入っておいでよ」
「わかりました」
後もつかえているので、私はお風呂に入ることにした。
お風呂に入った後、私は広場に行き、皆に祇条家でもらったお菓子を配った。
「お腹の足しにはならないと思うけど、何も食べないよりはましだと思うのでよかったら食べてください」
「クッキーとチョコか。ありがとう。いただくよ」
「私も食べます! ありがとうございます」
「じゃあ私も」
桑原さん、内田さん、横山さんの三人はお菓子を食べてくれた。
「私はいいかな」
「僕もいいや。甘いものは苦手だし」
「俺も同じく」
阿部さん、桶川さん、高山さんの三人はお菓子を食べなかった。
「じゃあ俺は風呂に入ってきますよ。俺の次は桑原さんですよね」
「ああ。くれぐれも水を使い切るんじゃないぞ」
「ははっ。わかってますよ」
高山さんは軽く笑い、お風呂場へ向かった。
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