第2話 自由を愛するもの
会場は既に音楽が流れダンスが始まっている
「はぁ……」
その音を聞きながら溜め息を溢す
私は今、薄いピンク色のドレスを着て腰まである桜色の髪を纏めず降ろしていて
予想通り私は舞踏会に連れてこられ今はテラスで庭園の景色を見ている
おば様とリアノと一緒に挨拶に回った後、私はすぐダンスに誘われ
地味なのになぜと思いながらディアモール家の家名に泥を塗らないよう一回だけお相手して逃げてきてしまったのだ
おば様は逃げようとした私になにか言おうとしたが
「おば様、あっちに美味しそうなものがあるわ!」
リアノが行きましょうよとおば様の腕を掴み歩き出す
渋るおば様をよそに歩き出すリアノそのときリアノが此方を振り替えってウィンクしたのがわかった
後でお礼を言おうと内心感謝してリアノとおば様を見送る
やっと一人っきりになれた私は一人テラスで頬杖を突き夜風に当たっていた
舞踏会はまだ始まったばっかり時間はたくさんある
あの後
フェリシアはおば様に言いくるめられダンス、令嬢としての振る舞い礼儀作法などを習いヘトヘトになったが次は食事のマナー、会場にいらっしゃる貴族の名前
新しいドレスの試着など次から次へとやることがたくさんあって大変だったのだ
おば様が着いていなければ絶対逃げ出したと思う
と言うかおば様が私に着いているがそんなの知らないと思い、窓から逃げ出そうと思ったことがバレたら怒られるだろう
と、いろいろな事があったのだ
「散歩でもしてこようかな」
テラスから一望出来る庭園はとても美しく心引かれる
私は暇だし風に当たりたいからちょうどいいかなと思い
ついでに散歩が終わるくらいに舞踏会も終わっていたらなと密かに願う
「階段は……」
テラスの両端に階段が付いていて私は右側から降りていった
庭園は遠くで見ても美しいが近くで見たら細かい部分も見れてより美しいと思う
「配置にも気を配っているんですね……」
フムフムと一人納得する
私は今テラスから見て左側の方の花を見ている
なぜ右側に降りたのに左側だというとテラスからは見えにくい位置にあり
奥の方には小川がありそこに橋がかけられていてその回りには綺麗な花がたくさん咲いている
幻想的な雰囲気にファンタジー好きな私には堪らないこれは行かなきゃ損だと思った次第です
るんるるんと鼻歌混じりに私は駆け寄りその風景を堪能する
その風景に見とれていると
「~♪」
風に乗って歌声が聞こえた
「なんの歌だろう?」
耳をそばたてる
さぁ 始めましょう
貴方から逃げる賭けを
貴方がおにね 私が欲しいなら夕刻までに捕まえてご覧なさい
捕まったら私の負けよ貴方の願いを叶えましょう
でも私は自由が好きなの
だから私はどんなてを使っても逃げ延びてみせるわ
籠の鳥なんて嫌よ
捕まえないで見つけないで
必ず貴方から逃げてみせるわ
「あ……」
この歌はリアノが大好きな恋の歌だ
確か、ある一国の王が平民の娘に恋をして
求婚するが断られる
断られた王は諦めることができず
何度も彼女のところに行き求婚をする
それに我慢が出来なくなった彼女は賭けをすることにした
貴方がもし私を捕まえることが出来たならどんな願いも受け入れましょう
でも私を捕まえることが出来なかったら私のことを諦めて下さい
制限は日の出から夕刻までどんなてを使ってもいいですよ
私も使いますから
という話だったと思う
最後はどうなったか知らないが面倒な恋の話だ
自由を愛するもの同士、彼女には気が合うと思うが
王様の方は遠慮したい
ガッシャン!!
「!?」
会場から凄い音が聞こえてきた
そのあとに悲鳴
「なに?」
私は会場側に足を向ける
今の音はガラスが割れる音、一体何が?
おば様はリアノは大丈夫だろうか
考えているうちに追い討ちをかけるようにまたガラスが割れる音
それを合図に私はヒールを手に持ち走り出した
走りにくいドレスに内心毒づきながら全力疾走する
間に合ってと願いながら
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